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自失
「自失〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
自失の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
らくの間は、恐怖と驚愕《きょうがく》とを代る代る醜い顔に表しながら、ただ、漫然と
自失した眼《まなこ》を相手に注ぐよりほかはなかった。
その内に猪首の若者は、と....
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
ンディアンとしては、それは無理もないことだと思う。当時のインディアンは驚愕と茫然
自失の外に、途がなかったのだ。しかしわれわれの場合はどうであろうか」 「なんとい....
「予報省告示」より 著者:海野十三
程度についての的中を欠き、ために世界国家の用意は十分ではなく、惨禍を前にして呆然
自失の態《てい》たらく。蓋《けだ》し氷河期の災禍は世界の有する工業力とは桁ちがい....
「隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
今まで唯一の問題になっていた本人が、突然はいってきたのだから、みんな相顧みて茫然
自失というありさまだ。さすがの政さんも今までお前さんのうわさをしていたのさとは言....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
五人もいて頑張れば、群衆の冷静さを、幾分とりもどせたろうと思われたが、誰もが呆然
自失していて、適当な処置を誤ったのだった。一味の計画は、すっかり、図に当った。 ....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
靴がだめになる。火叩きは有効。 ◯落ちた瞬間、あたりは火の海となる。そのとき呆然
自失してはいけない。 ◯火事になりそうなものを早く消し、道路上のものは放っておく....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
性のすべてを失ってしまったことは云うまでもないのである。ところが、そうして相手が
自失した有様に、むしろ法水は、残忍な反応を感じたらしかった。彼は、手中の生餌を弄....
「三十年後の世界」より 著者:海野十三
ざめて、無言で「光る円筒」のはなれ業《わざ》をじっと見つめている。 ぼう然
自失《ぜんじしつ》 カンノ博士の顔色が変わった。 スミレ女史も、息をつめて光....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
で、あッと絶叫したが、理学士は愕然として可恐い夢から覚めたのである。 拓は茫然
自失して、前のまま机に頬杖を突いた、その手も支えかねて僵れようとしたが、ふと闇の....
「獄中消息」より 著者:大杉栄
むしろ驚きの感に先きだたれた。したがって、涙にくるると言うよりはむしろ、ただ茫然
自失という体であった。すると、この知らせのあった翌日、君が面会に来た。そして家の....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
なほどの無表情で、秘密っぽい、法水の言葉にも反響一つ戻ってはこないのだ。やがて、
自失から醒めたように、正確な調子で問いかえした。 「お言葉の意味が、はっきりとは....
「なよたけ」より 著者:加藤道夫
ように左方へ消える) 行者達の呼ばい声、鈴の音が不気味に聞えている。 中央に呆然
自失したごとく、文麻呂はひとり残される。 文麻呂 (うわごとのごとき独白)……俺....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
今の世の中に、こういうことに異様な心響を覚え、飽かずその意識の何物たるかに探り入り、呆然
自失のような生涯を送りつつあるのは、私一人であろうか。たぶん私一人であろう。確と....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
人に限ってこの齟齬が度々繰り返されることがありまして、悲運の余りいじけたり、呆然
自失してしまう人があります。 これと反対に、外見上、すること為すことが大抵予想....
「消えた霊媒女」より 著者:大倉燁子
悲しさの時は却って泪など出ないものだという事を始めて知りました。私の場合は、茫然
自失したという言葉が一番あてはまっていると思います。全く私は余りの事にどうしてい....