自棄[語句情報] »
自棄
「自棄〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
自棄の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
皿だ。」と火箸をバタリ。 十五 「じゃあ色気より食気の方だ、何だか
自棄に食うようじゃないか。しかし、まあそれで済みゃ結構さ。」 「済みやしないよ、....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
うそう信じていた。 でも、何だか、肝が起って、じりじりしてね、おかしく自分でも
自棄になって、 (貸してやろう、乗っといで。) (柔順なものじゃ、や、よう肯かし....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
運ぶのではなく、漁村なるわが町内の晩のお菜に――荒磯に横づけで、ぐわッぐわッと、
自棄に煙を吐く艇から、手鈎で崖肋腹へ引摺上げた中から、そのまま跣足で、磯の巌道を....
「売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
言って、夜中に直ぐに飛出して、溜飲を下げてやろうと思ったけれど……どんな発機で、
自棄腹の、あの人たちの乱暴に、貴方に怪我でもさせた日にゃ、取返しがつかないから、....
「鷭狩」より 著者:泉鏡花
、小皿の小鳥に紙を蔽うて、煽って散らないように杉箸をおもしに置いたのを取出して、
自棄に茶碗で呷った処へ――あの、跫音は――お澄が来た。「何もございませんけれど、....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
て取られて、とうとう、のう、御主人へ持って行く、一樽のお代を無にしました。処で、
自棄じゃ、賽の目が十に見えて、わいらの頭が五十ある、浜がぐるぐる廻るわ廻るわ。さ....
「出奔」より 著者:伊藤野枝
ろにその人の世界が開ける。 いかなる場合にもレールの上などに立つべからず決して
自棄すべからず 心強かれ 取り急いでこれだけ。 今家へあて出した私の手紙の最後....
「第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
卓子台に、肱を支いて、 「その後は。どうしたい。」 「お話にならないの。」 と
自棄に、おくれ毛を揺ったが、……心配はさせない、と云う姉のような呑込んだ優い微笑....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
昨夜の遊女か。」 「そんなものは名も知らない。てんで顔を見せないんだから。」 「
自棄をいうなよ、そこが息子の辛抱どころだ。その遊女に、馴染をつけて、このぬし辻町....
「雪霊続記」より 著者:泉鏡花
一団になったと思うと――その隊長と思うのが、衝と面を背けました時――苛つように、
自棄のように、てんでんに、一斉に白墨を投げました。雪が群って散るようです。 「気....
「幸福な家庭」より 著者:井上紅梅
と、五六歩進んでテーブルの前に行き、緑罫の原稿用紙を一枚取ると、ぶっつけに、やや
自棄気味にもなって、次のような題を書いた。 「幸福な家庭」 だが、彼の筆はたち....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
ぐ出掛けましょう、御婦人には芝居と南瓜が何よりの御馳走だ。) 馬鹿も通越した、
自棄な言句を切出して、 (ご贔屓の路之助が出ています。) 役者を贔屓とさえいっ....
「夫人利生記」より 著者:泉鏡花
る。 「見せようか。」 仰向けに、鐘を見つつ、そこをちらちらする蜻蛉に向って、
自棄に言った。 「いや、……自分で拝もう。」 時に青空に霧をかけた釣鐘が、たち....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
れて可いのです。――事実、また、瓜を食って渇命をつないでいるのですから。」 と
自棄に笑った。が、酔もさめ行く、面の色とともに澄切った瞳すずしく、深く思情を沈め....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
たと思うと、お母さんの白い指が、雪の降止もうとするように、ちらちらと動いた、――
自棄に鉄漿の口が臭くってそいつを振払った、と今の私なら言うんだが、もうこの身で泣....