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自涜
「自涜〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
自涜の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「風の便り」より 著者:太宰治
あります。一つとして見るべきものがありません。雰囲気の醸成を企図する事は、やはり
自涜《じとく》であります。「チエホフ的に」などと少しでも意識したならば、かならず....
「虚構の春」より 著者:太宰治
人道主義的なマルキストであり、感傷的な文学少年、数学の出来なかったぼくは、ひどい
自涜《じとく》の為もあったのでしょう、学校に友達なく、全く一人で、姉、近所のW大....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
り出して、不意に乗じて一種の尊敬を、そうでなければ一種の憐憫を、搾り取ろうとする
自涜も知っている。弱さは真に醜さだ。それを私はよく知っている。 然し偽善者とは....
「芸術ぎらい」より 著者:太宰治
あります。一つとして見るべきものがありません。雰囲気の醸成を企図する事は、やはり
自涜であります。〈チエホフ的に〉などと少しでも意識したならば、かならず無慙に失敗....
「ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
本能ばかりの個人主義の世界を現出させた。そうして人類文化を日に日に無中心化させ、
自涜化させ、神経衰弱化させ、精神異状化させて、遂に全人類を精神的に自滅、自殺化さ....
「甲賀三郎氏に答う」より 著者:夢野久作
趣味な、直線、もしくは曲線にまで分解し、罵倒しつくした。宗教は阿片である。芸術は
自涜である。恋愛は性欲以外の何者でもないとまで弁証して痛快がるに到った。 この....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
)など読む。樵夫当日その内に読み込まるるを怕れて山に入らず、また甚だ男子が樹陰に
自涜《じとく》するを好むと。佐々木繁君説に、山神、海神と各その持ち物の多きに誇る....
「理想の女」より 著者:豊島与志雄
頭に映じてきた。そして昨夜のことが……それは、噫、「彼女」を心に描きながら行った
自涜行為に過ぎなかった。私は庭の方へ、かっと唾をした。その後で、堪らなく淋しく悲....
「異邦人の意欲」より 著者:豊島与志雄
て大衆文学は、民衆に、一時を糊塗する自慰自藉の糧を供給するだけであり、その感情的
自涜行為を行わせるだけであり、その生活的痲痺剤を与えるだけである。 勿論私は、....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
少と類似の現象だった。多くの才と知力とが、多くの精練された官能が、一種の恥ずべき
自涜《じとく》行為のうちに消費されていた。彼らはそのことに少しも気づかなかった。....
「澪標」より 著者:外村繁
派的なものが、未練がましく抵抗を試みて止まないのである。卑近な例で言えば、自分が
自涜を行いながら、童貞を誇っているようなものである。が、弱年の私には気がつかない....