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「自然木〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

自然木の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
二百十日」より 著者:夏目漱石
けん》の蝙蝠《こうもり》の柄には、幸い太い瘤《こぶ》だらけの頑丈《がんじょう》な自然木《じねんぼく》が、付けてあるから、折れる気遣《きづかい》はまずあるまい。そ....
硝子戸の中」より 著者:夏目漱石
てつおなんど》の八間《はちけん》の深張で、上から洩《も》ってくる雫《しずく》が、自然木《じねんぼく》の柄《え》を伝わって、私の手を濡《ぬ》らし始めた。人通りの少....
岩石の間」より 著者:島崎藤村
けた石垣などまで見て廻った。 この別荘がいくらか住まわれるように成って、入口に自然木の門などが建った頃には、崖下の浴場でもすっかり出来上るのを待たないで開業し....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
「が、待て待て、どんな風態だ?」 「ハイ、胸に白髯を垂れ、身に葛の衣裳を着け、自然木の杖を突きましたところの、異相の老人にございます」 「で、姓名は何んと云っ....
山と雪の日記」より 著者:板倉勝宣
流れこむのだ。この二つの川の間が、われらの住家である。小川の辺の小高いところに、自然木で組み立てて、板をはった十畳敷の小屋ができた。屋根には蕈の生えた太い木が五....
神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
咲いているわい」 葵の紋服など着ていない。無紋の単衣《ひとえ》にぶっさき羽織、自然木の杖をついている。顔を見られるのを嫌ったからだろう、編笠を目深に冠っている....
妖僧記」より 著者:泉鏡花
し。 乞食僧は一条の杖を手にして、しばらくもこれを放つことなし。 杖は※状の自然木なるが、その曲りたる処に鼻を凭たせつ、手は後様に骨盤の辺に組み合せて、所作....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
てあるく。すべてが一心を打込んで踊っているうち、ひとり、例の猩々だけは踊らない。自然木《じねんぼく》の切株に腰うちかけ、中啓を以て踊りの庭を監督している体《てい....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
す。 そこで、駒井甚三郎は、清八をして持参の弁当を取り出させ、その小屋の庭前の自然木の卓子《テーブル》の上に並べさせ、そのうち好むものを、異人氏にも勧め、且つ....
星女郎」より 著者:泉鏡花
(お火が消えましたかしら。) とちょっと翳した、火入れは欠けて燻ぶったのに、自然木を抉抜の煙草盆。なかんずく灰吹の目覚しさは、……およそ六貫目|掛の筍ほどあ....
山吹の花」より 著者:豊島与志雄
廊下続きの別棟に、百畳余りの広間があった。舞台めいた高壇には、二抱えほどもある自然木の巨大な柱が四方に立っていた。その広間の真中に寝そべって、高い天井を仰いで....
白藤」より 著者:豊島与志雄
の片隅、心持ち斜面をなしてる上手、寒山竹の茂みを横手にひかえてるところで、枯れた自然木の高い支柱の下半分ほどに、藤の青葉がからみついていました。 保治は肥料埋....
稚子法師」より 著者:国枝史郎
。 四 「もし」と幽霊は尚呼びかけた。「せめて和尚様の突いて居られる其自然木の息杖でも残して行っては下さりませぬか」 「杖ぐらいなら進ぜようとも」 ....
柳営秘録かつえ蔵」より 著者:国枝史郎
苦笑を漂わせた、神々しくもあれば凄くもある、一人の老人が立っていた。地に突いたは自然木の杖、その上へ両手を重ねて載せ、その甲の上へ頤をもたせ、及び腰をした様子に....
仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
て育てましたの?」 「それはわしにも解らないのだよ」 袖無を着、伊賀袴を穿き、自然木の杖を突いた老人は、卯の花のように白い長い髪を、肩の辺りでユサユサ揺りなが....