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自署
「自署〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
自署の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
しく古風な書体だな。まるで、半大字形か波斯文字みたいだ。でも君は、これが被害者の
自署だという証明を得ているのかい?」
「無論だとも」熊城は肩を揺ぶって、「実は、....
「富貴発跡司志」より 著者:田中貢太郎
目になって総官府に上申する事件ができて、部下の官吏が書面を持ってきたので、それに
自署して、雷州路録事何某と書こうと思って、筆を持って雷という字を書きかけたところ....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
に出来た関牧場の画模様の服紗と、命の洗濯、旅行日記、目ざまし草に一々|歌及俳句を
自署したものであった。両家族の者残らずに宛てゝ、各別に名前を書いてあった。「人並....
「街」より 著者:宮本百合子
貰うと(尤もこのよりだけはジェルテルスキーの日本語の知識でも判読出来ず、トヨ子の
自署の一種だろうと説明したのだが)ステパンは、幾度も幾度もその手紙に唇を押しつけ....
「渋谷家の始祖」より 著者:宮本百合子
あるかのように、その立姿は冴え渡って、すっきりとしている。しかもそれが、高槻信と
自署されているのを見て、正隆は思わず、何物かに胸を衝かれたような心持がした。 ....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
―マドリッド第一のホテル――の数年まえの止宿人名簿を探すと、メリイ・カルヴィンの
自署を発見するに相違ない。あめりかのちょいとした家の子女が誰もかれもするように、....
「中条精一郎の「家信抄」まえがきおよび註」より 著者:宮本百合子
。イースタン・アンド・オリエンタルホテルの絵葉書。父のほかに「いが栗老人」などと
自署された他の人々の寄書がある。ホテルの木立の間に父の筆で、雲を破って輝き出した....
「雑記(Ⅰ)」より 著者:寺田寅彦
である。私は少し気の毒になって来た。 警官は電車を待たさないために車掌の姓名を
自署さしてすぐに帰した。それから私に「貴方御いそぎですか」と聞いた。私はこの警官....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
談の調子でかなり露骨にそのことをもち出した。彼女は自分の写真帳《アルバム》に彼の
自署を求めた。彼女はパリーのことをしつっこく尋ねた。パリーにたいして好奇心と軽蔑....
「死刑囚最後の日」より 著者:豊島与志雄
と自由と財産と家庭とすべてがお前に返されるためには、このペンで彼が一枚の紙の隅に
自署するだけでたりるし、あるいは彼の箱馬車がお前の荷馬車に出会うだけでもたりる。....
「生前身後の事」より 著者:中里介山
するような書物をお持ちでしたら小生の許《もと》までお届け下さればいつでもその証明
自署をしてあげる。 とにかくそういう風にして第一冊第二冊は手製第三冊以下は自由....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
事なことも驚嘆すべきものであった。コヨリでとじた何冊かの稿本があり、そこに風守の
自署があって、彼の作った詩文であった。そこに朱筆が入れてあるのは祖父の手であるら....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
き、彼もまたいい気になって、“元弘以来収公ノ所領、各自、相違アル可カラズ”という
自署の安堵状などを諸武士へ発行しているという。まるでもうそれは主権者気どりではな....
「随筆 宮本武蔵」より 著者:吉川英治
、武蔵を称し、政名、玄信などとも名乗った。号を、二天といい、晩年、二天道楽などと
自署した物もある。 武技は、父に習ったとみてよい。ほかに師らしい人を経歴にもっ....