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自若
「自若〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
自若の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
柄《がら》にもない鉄火な事を云って、こちらも負けずに鼻で笑いました。けれども婆は
自若として、まるで蝙蝠《こうもり》の翼のように、耳へ当てた片手を動かしながら、「....
「外科室」より 著者:泉鏡花
。渠は先刻《さき》にいかにしけん、ひとたびその平生を失《しっ》せしが、いまやまた
自若となりたり。 侯爵は渋面造りて、 「貴船、こりゃなんでも姫《ひい》を連れて....
「夜行巡査」より 著者:泉鏡花
》を行くに、身体《からだ》はきっとして立ちて左右に寸毫《すんごう》も傾かず、決然
自若たる態度には一種犯すべからざる威厳を備えつ。 制帽の庇《ひさし》の下にもの....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
人ごとに許しゃしない。そこは地位もあり、財産もあり、学位も有るもんなら、」 と
自若として、自分で云って、意気|頗る昂然たりで、 「講堂で良妻賢母を拵えて、ちゃ....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
覧なさりはしませんか。) 私は悚然とした。」 十九 「が、わざと
自若として、 (何を、どんなものです。)って聞返したけれど、……今の一言で大抵分....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
に当人が歎き悲みなぞしたのですか。人に惜まれ可哀がられて、女それ自身は大満足で、
自若として火に焼かれた。得意想うべしではないのですか。なぜそれが刑罰なんだね。も....
「革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
中に、白襟、空色|紋着の、廂髪で痩せこけた女が一人|交って、都合三人の木戸番が、
自若として控えて、一言も言わず。 ただ、時々…… 「さあさあ看板に無い処は木曾....
「琵琶伝」より 著者:泉鏡花
と叫びて、身を震わし、肩をゆりて、 「イ、一層、殺しておしまいよう。」 伝内は
自若として、 「これ、またあんな無理を謂うだ。蚤にも喰わすことのならねえものを、....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
も前にも左右にもすくすくと人の影。 「あッ。」とばかり戦いて、取去ろうとすると、
自若として、 「今では誰が見ても可いんです、お心が直りましたら、さあ、将棊をはじ....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
と囃したが、滝太郎は俯向いたまま、突当ったようになって立停ったばかり、形も崩さず
自若としていた。 膝の辺りへ一条の糸が懸ったのを、一生懸命両方から引張って、 ....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
傑が引転かえったなぞは、対手の急所だ、と思って、饒舌ったには饒舌りましたが、……
自若としている。」 「
自若として、」 「それは実に澄ましたものです。蟇が出て鼬の....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
き、雫はその額から、耳から、頤の辺から、まるで氷柱を植えたよう。 かかる中にも
自若として冷静の態度を保ち、ことさらには耳を傾けて雨を聞こうともしないのは彼等士....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
ささか軽んずる色があって、ニヤニヤと頤を撫でる。女房お賤はこれにはびくともせず、
自若として、 「ああ、そうさ、私は、そうさ。ちっとね、お客さまをお送り申していた....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
、少し、そちらへ。」 「着ものを脱いで、的にも立ちかねないんですがね。」 と、
自若として、微笑ながら、 「あなたの柄だと、私は矢取の女のようだよ。」 「馬鹿な....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
るが早いか、先生に吐剤を飲ませようとした。けれども先生は吐剤ということを知ると、
自若としてこういう返事をした。 「山田次郎吉は六十を越しても、まだ人様のいられる....