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自適
「自適〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
自適の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「懶惰の歌留多」より 著者:太宰治
ーニア氏も、とうとう辞職してしまった。もっとも、これらの人たちは、案外のんきに、
自適しているのかも知れない。桜の園を売り払っても、なあに山野には、桜の名所がたく....
「盲人独笑」より 著者:太宰治
楽才と、刻苦精進して夙《はや》く鬱然一家をなし、世の名利をよそにその志す道に悠々
自適せし生涯とに他ならぬ。かれの手さぐりにて自記した日記は、それらの事情を、あま....
「柿色の紙風船」より 著者:海野十三
。これで私も、末の見込みのない平事務員の足を洗って、末は田舎へ引込むなりして悠々
自適の生活ができるというものと、悦びに慄えた。 「ではお前は、あのラジウムを直ぐ....
「運命」より 著者:幸田露伴
塵心 消尽して 些子も無し、 受けず 人間の物色の侵すを。 これより帝|優游
自適、居然として一頭陀なり。九年|史彬死し、程済猶従う。帝詩を善くしたもう。嘗て....
「般若心経講義」より 著者:高神覚昇
かな と口ずさみつつ、なんの執着もなく、晩年は仏門に入り名を自得と改めて、悠々
自適の一生を、俳句|三昧に送ったといわれています。その瓢水翁が、ある年の暮れ、風....
「時限爆弾奇譚」より 著者:海野十三
がせなことをやったものである。 しからば、柱時計を持っていない連中は、さぞ悠々
自適したであろうと思うであろうが、そうでもなかった。なるほど、当該の彼および彼女....
「油絵新技法」より 著者:小出楢重
とを眼目とする処の、線によって直ちに心を現し得る処の、最も主観的な画技を以て悠々
自適しながら楽しんで来たものであった。勿論その技法の原因は支那より伝来せる技法と....
「亡び行く江戸趣味」より 著者:淡島寒月
いる。洋の東西、古今を問わず、卑しくも私の趣味性を唆るものあらば座右に備えて悠々
自適し、興来って新古の壱巻をも繙けば、河鹿笛もならし、朝鮮太鼓も打つ、時にはウク....
「金銭無情」より 著者:坂口安吾
、あなた、人々の養命保身のために自らの悲劇をさゝげるのです。だから御当人は明朗、
自適の境地がなきやいけない。当店のマスターたる最上先生も御母堂もその心得で指導し....
「佳日」より 著者:太宰治
以て大学の講壇から去り、いまは牛込の御自宅で、それこそ晴耕雨読とでもいうべき悠々
自適の生活をなさっているのだ。私は頗る不勉強な大学生ではあったが、けれどもこの瀬....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
ったり降りたりしている。それが前からの遊びどころででもあったかのように、いかにも
自適している。 一体鶴見には偏好性があって、虫類では蜥蜴が第一、それから守宮、....
「二人町奴」より 著者:国枝史郎
放濶達ながら、一面温厚篤実の長者、しかも侠気は満腹に允ち生死はつとに天に任せ悠々
自適の所もあり、子分を愛する人情は、母の如くに優しくもあれば、父の如くに厳しくも....
「四国遍路日記」より 著者:種田山頭火
空 ほろほろほろびゆくわたくしの秋 一握の米をいただきいただいてまいにちの旅 “
自適集” 十一月八日 晴――曇、行乞六里、伊尾木橋畔、日の出屋で。 五時前に眼....
「落語・教祖列伝」より 著者:坂口安吾
。馬吉のオカカですらも、ダメなのである。だからアネサは人間の境地を分類して、悠々
自適と称するところに居るのであるが、かほどの人間でも、充ち足りざるものがある、夢....
「自由なる空想」より 著者:小川未明
と、せざるとによって、その人に対する印象が異るであろう。 これに較べて、無名の
自適な詩人に、また田舎で暮す百姓の中に、誠に、人間らしく、自分の生活に生きている....