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至る
「至る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
至るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「十本の針」より 著者:芥川竜之介
ろのものの奴隷になっている。したがって他人には天国を与えても、――あるいは天国に
至る途《みち》を与えても、天国はついにそれらの人々自身のものになることはできない....
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
割り下水の柳を、回向院の広場を、お竹倉の雑木林を、――こう言う自然の美しさをまだ
至る所に残していた。彼は彼の友だちのように日光や鎌倉へ行かれなかった。けれども毎....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
もちとぴったり来ない。字と字との間に、不純な雑音が潜んでいて、それが全体の調和を
至るところで破っている。彼は最初それを、彼の癇《かん》がたかぶっているからだと解....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
心中も一切打ち明けなければなりますまい。それが小心な私には、いざと云う場合に立ち
至ると、いかに自《みずか》ら鞭撻しても、断行する勇気が出なかったのでございます。....
「影」より 著者:芥川竜之介
「拝啓、貴下の夫人が貞操を守られざるは、再三御忠告……貴下が今日《こんにち》に
至るまで、何等|断乎《だんこ》たる処置に出でられざるは……されば夫人は旧日の情夫....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
余計に僕は煩悶《はんもん》した。君を新橋に出迎えて以来、とうとう今日《きょう》に
至るまで、僕は始終この煩悶と闘わなければならなかったのだ。が、一週間ばかり前に、....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
いか? その証拠には今日になると、一度に何人かの信徒さえ出来た。やがてはこの国も
至る所に、天主《てんしゅ》の御寺《みてら》が建てられるであろう。」
オルガンテ....
「二人小町」より 著者:芥川竜之介
とが出来る。このくらい強いものはありますまい。またほんとうにあなたがたは日本国中
至るところに、あなたがたの餌食《えじき》になった男の屍骸《しがい》をまき散らして....
「校正後に」より 著者:芥川竜之介
小さくとも完成品を作りたいと思っている。芸術の境に未成品はない。大いなる完成品に
至る途《みち》は、小なる完成品あるのみである。流行の大なる未成品のごときは、僕に....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
つ雉子《きぎす》、それから深い谷川の水光りを乱す鮎《あゆ》の群、――彼はほとんど
至る所に、仲間の若者たちの間には感じられない、安息と平和とを見出した。そこには愛....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
きがわら》に触れる拍車の音にも、卓《たく》の上に脱いだ外套《がいとう》の色にも、
至る所に窺《うかが》われるのであった。殊に紅唐紙《べにとうし》の聯《れん》を貼《....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
ているのに過ぎない。なぜ円いかと問いつめて見れば、上愚は総理大臣から下愚は腰弁に
至る迄、説明の出来ないことは事実である。
次ぎにもう一つ例を挙げれば、今人は誰....
「さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
が、ハムブルグの教会で彼が祈祷をしているのに出遇った。それ以来、十八世紀の初期に
至るまで、彼が南北両欧に亘《わた》って、姿を現したと云う記録は、甚だ多い。最も明....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
をおろした。それから僕の計画していた長篇のことを考え出した。それは推古から明治に
至る各時代の民を主人公にし、大体三十余りの短篇を時代順に連ねた長篇だった。僕は火....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
いた初めで、その後も続いて聴きに行った。何んでも一八一〇年の二月から翌年の九月に
至るまでに、十二三回は聴講したらしい。 そのうちに、タタム氏と交際もするように....