至る所[語句情報] »
至る所
「至る所〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
至る所の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
割り下水の柳を、回向院の広場を、お竹倉の雑木林を、――こう言う自然の美しさをまだ
至る所に残していた。彼は彼の友だちのように日光や鎌倉へ行かれなかった。けれども毎....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
いか? その証拠には今日になると、一度に何人かの信徒さえ出来た。やがてはこの国も
至る所に、天主《てんしゅ》の御寺《みてら》が建てられるであろう。」
オルガンテ....
「路上」より 著者:芥川竜之介
ウインドウ》の中にも、アスファルトの上にも、あるいはまた並木の梢《こずえ》にも、
至る所に春めいた空気が動いていた。それは現在の彼の気もちを直下《じきげ》に放出し....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
つ雉子《きぎす》、それから深い谷川の水光りを乱す鮎《あゆ》の群、――彼はほとんど
至る所に、仲間の若者たちの間には感じられない、安息と平和とを見出した。そこには愛....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
きがわら》に触れる拍車の音にも、卓《たく》の上に脱いだ外套《がいとう》の色にも、
至る所に窺《うかが》われるのであった。殊に紅唐紙《べにとうし》の聯《れん》を貼《....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
の状態を名づけるのにギリシア語のカオス(Chaos)を用いるが、これは元来物質の
至る所均等な分布を意味する。カントの宇宙開闢論もやはり、宇宙はその始め質点の完全....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
騒な方面を説いたものはない。 戦国時代の富士ときてはかなり物騒なものであった。
至る所に猛獣毒蛇|魑魅魍魎が横行|跋扈し、野武士邪教徒|剽盗の類が巣を構えて住ん....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
肉の聖き羈は断たれ、幾千幾万の家族は、相率いて不幸の谷底に蹴落され、大地の上は、
至る所に屍の山を築く。しかも無理にその肉体からもぎ離されたる無数の魂は、何の用意....
「開運の鼓」より 著者:国枝史郎
達まで自暴自棄となって悪事|三昧に耽けるようになった。切り取り強盗、闇討ち放火、
至る所に行なわれ巷の辻々には切り仆された武士の屍が横たわっていたりまた武家屋敷の....
「天草四郎の妖術」より 著者:国枝史郎
妍を競い早出の蝶が蜜を猟って花から花へ飛び廻わる――斯う云ったような長閑な景色は
至る所で見られました。 髪は角髪衣裳は振袖、茶宇の袴に細身の大小、草履を穿いた....
「大鵬のゆくえ」より 著者:国枝史郎
て、素早く奥へ走って行った。 一村一町にも比較べられる、無限に広い西丸御殿は、
至る所に廊下があり突き当たるつど中庭があり廊下に添って部屋部屋がちょうど町方の家....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
艦に乗り組んで、方々の外国の港などへも行った。そして熱心なクリスチャンになった。
至る所の港から私に絵葉書をよこした。小さな拙い字で一杯通信文を書いて。それは艦上....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
自分の物だ。金には何んの苦労もない。有難いことには自分は美貌だ。これまでほとんど
至る所で、色々の女を征服もし、また女に征服もされた。女の秘密もおおかたは知った。....
「甲州郡内妖怪事件取り調べ報告」より 著者:井上円了
にある一証というべし。 第七に、かの怪声が常にかの女子の身辺に伴い、かの女子の
至る所に限りてこれを聞くは、すなわち女子の所為たる証拠にあらずや。加うるに、かの....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
※の皺が増したことであろう。此附近は木立も稍や繁っているし、天幕を張る位の平地は
至る所に見られるから、野営地として恰好の場所である。 これからまた右岸に移って....