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「至味〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

至味の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
平凡」より 著者:二葉亭四迷
共に理智の作用のみ。理智の眼《まなこ》を抉出《けっしゅつ》して目的を見ざる処に、至味《しみ》存す。 理想は幻影のみ。 凡人《ぼんにん》は存在の中《うち》に住す、....
雪代山女魚」より 著者:佐藤垢石
溶け込む風趣を持ってくるのは、初夏から、渓水の涼風肌を慰める土用頃である。これを至味の変と言う。 近年、都会人に渓流魚釣りの技が普及して、三月の声を聞くともう....
香熊」より 著者:佐藤垢石
肉料理は肋肉を尤もとし、その脂肪潤沢に乗ったところを賞味するのですから、脊肉では至味とは言えません。けれど、料理には遺憾なく腕を揮ったつもりです。まず生肉を蒜薑....
魔味洗心」より 著者:佐藤垢石
鱒は、既に三月中旬にはわが上新田の雷電神社地先の利根の激流に姿を現わすのである。至味の季節は六、七、八、九の四ヵ月で四、五両月にはまだ脂肪が乗ってこぬので、その....
香魚と水質」より 著者:佐藤垢石
ところで、野菜の点彩がなければ、割烹の理に達したとはいえないであろう。 野菜の至味を想う頃、筆者の食感を揺するものに、初秋の鮎がいる。共に、野趣豊かな高い香気....
採峰徘菌愚」より 著者:佐藤垢石
肢翅成って巣蓋を破り、まさに天宙に向かって飛翔の動作に移らんとするまで育ったのが至味というのである。それを生きているまま食うのが、本筋の蜂の子通だ。肢翅なればお....
すっぽん」より 著者:佐藤垢石
をつけ、碗に注いで根深を細かく刻んで添える。口で吹くほど熱いのが、すっぽんの羮の至味であろう。 料亭の調理には鰹節、昆布、味の素、鶏肉スープなど加味するのがあ....
鯛釣り素人咄」より 著者:佐藤垢石
吹き始めた九月頃からそろそろおいしくなり、十一月、十二月、それから寒に入った頃が至味となるのである。 東京湾内へも、四、五月頃になると遠く太平洋の方から乗っ込....
たぬき汁」より 著者:佐藤垢石
椚、樫という順になる。猪は団栗が大好物で、楢の実をふんだんに食った奴こそ、猪肉の至味として人々から珍重されているのである。 折りから八月の末近く南国とはいいな....
姫柚子の讃」より 著者:佐藤垢石
色の鱗に不規則に雲形の斑点を浮かせ、翡翠の羽に見るあの清麗な光沢をだしたものが、至味とされている。 殊に、鰍の味と川の水温とに深い関係があった。上越国境の山々....
氷湖の公魚」より 著者:佐藤垢石
多く土浦の霞ヶ浦産である。白銀色に美しいところはあるけれど、泥臭い上に渋味が強く至味というわけにはいかない。俗にチカキという青森県や北海道方面からの乾公魚は一層....
美食と人生」より 著者:北大路魯山人
みると、存外な美味を発見することもあり、高級上等食も食い慣れない者の口には、その至味、容易に感じ取れるものではない。人おのおの与えられた運命がつくってくれるとこ....