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至純
「至純〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
至純の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「三浦右衛門の最後」より 著者:菊池寛
助けて下され」といった。刑部の君臣はまたどっとあざわらって、この人間の最高にして
至純たる欲求を侮辱した。大刀取りは左の手で右衛門の身を上へ持ち上げるようにして右....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
難い主は、五つの元素と他の原始物質とによってこの世界を知覚し得るようにした。彼は
至純な光で世を照らし闇を散らし、天然界の発展を始めさせた。彼は自己の観念の中に思....
「思案の敗北」より 著者:太宰治
思い合わせるならば、ルソオの汚さは、一層明瞭である。けれども、人間の行い得る最高
至純の懺悔の形式は、かのゲッセマネの園に於ける神の子の無言の拝跪の姿である、とす....
「柿の種」より 著者:寺田寅彦
ほとんど同時に二人が大きく長くのびやかなあくびをした。 あらゆる「同情」の中の
至純なものである。(大正九年十一月、渋柿) * 脚を切断してしま....
「梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
平野次郎、野村望東尼は尚|赫々たる光輝を今日に残している。しかも我が梅津只圓翁の
至純至誠の謙徳は、それ等の人々よりも勝れていたであろうに、何等世に輝き残るところ....
「思想としての文学」より 著者:戸坂潤
抜きか遁れ口かを見つけ出すか、という模索が後者の動機である。 文学の通俗性(乃
至純粋性)とロマンティシズムとを並べて見ると、夫々が背後に従えている二連の広範な....
「世界の一環としての日本」より 著者:戸坂潤
ルーンの如き)今は言論の表現報道だけに話を限定しよう。政治的言論に限らず、文学乃
至純文学的表現発表までも含むが併しアドバルーンやチンドン屋は入れないことにするわ....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
好《しこう》を犠牲にすることもできたが、それでもなお、最高の祭壇と真実にたいする
至純な熱情とを捨てなかった。強烈な敬虔《けいけん》な心で真実を愛していた。それら....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
志をたてたのは滑稽ですが、その志に濁りや曇りはありませぬ。葉子の覚悟は一途です。
至純です」 「ようし。さがれ。それがその方らの本心か。大狸に化かされるな。今に目....
「物理的空間の成立まで」より 著者:戸坂潤
別は実際には如何なるものとして現われるか。それを見るために私はカントの直観形式乃
至純粋直観としての空間とは如何なるものと考えられるかを他の方面から検べて見る。空....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
生命の健全さにとって、何という仕合わせなことであったろう。 次郎が、ついに母の
至純な愛をかち得たときの喜びは、それが久しく拒まれていたものだっただけに、限りな....
「安吾人生案内」より 著者:坂口安吾
辺は「たけくらべ」の恋情を、ムッシュウ・スガンの山羊の素直さにした感じ。まことに
至純なメルヘンの世界である。少年の落胆が甚しいので、そんなに思いつめているなら結....
「税所敦子孝養図」より 著者:上村松園
歌道ひとすじにその身を置いたのであった。 わたくしは、税所敦子女史の、この至高
至純の美しい心根を画布に写しながら、いく度ひとしれず泪をもよおしたか判らなかった....
「青春の息の痕」より 著者:倉田百三
いが、自ら支えるための消極的抵抗であったといいうる。 濡れ、輝き、愛と感傷とに
至純であるところの、相触るるすべてのものに「よき意志」を用意しているところの、神....
「良寛様の書」より 著者:北大路魯山人
い。黄檗が俗健をもって横行している時代にさえ、大徳寺には春屋禅師のような上品な、
至純な、非凡的能筆が生まれており、江月和尚のように味と見識を兼備えた調子のいや高....