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「致し方〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

致し方の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
報恩記」より 著者:芥川竜之介
きも致しました。人知れず涙も落しました。しかし積悪の報《むくい》と思えば、これも致し方はございますまい。いや、むしろこの永年、天罰も受けずに居りましたのは、不思....
」より 著者:芥川竜之介
とう竜の天上する三月三日になってしまいました。そこで恵印は約束の手前、今更ほかに致し方もございませんから、渋々叔母の尼の伴《とも》をして、猿沢《さるさわ》の池が....
放送された遺言」より 著者:海野十三
は人類として大いに慎まねばならぬものまでが平然と現われてまいります。それは一めん致し方のないことのようにも考えられますが、また一めんから考えるとそれは恐ろしい罠....
最終戦争論」より 著者:石原莞爾
来たしたことにしなければ、学者には都合が悪いらしいのですが、都合が悪くても現実は致し方ないのであります。ただし兵器の進歩は既に散兵の時代となりつつあったのに、社....
海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
に戦争をしかけて来たの?」 彼らには不可解なことであろう。 ふびんであるが、致し方なし。 八月十日 ◯今朝の新聞に、去る八月六日広島市に投弾された新型爆弾....
地球盗難」より 著者:海野十三
ゴルと交際っているのであろう。辻川博士亡き後は、シュワルツコッフ博士に訊くより外致し方がないのであろう。シュワルツコッフ博士は、一体どこにいる? このとき大隅....
大脳手術」より 著者:海野十三
を思付いた。それは甚だ突飛な解決法であった。しかし現在の私のような境涯にあっては致し方のないことだ。読者よ、呆れてはいけない。私は、私の体に残れる本来の私の最後....
獄中消息」より 著者:大杉栄
の判決文が来て、いささか驚かされた。他の諸君にははなはだお気の毒であるが、これも致し方がない。このことについては、何とも言うて来ないが、どうしたのだ。まだ知らな....
備前天一坊」より 著者:江見水蔭
てはその方を士分にお取立てがあるかも知れぬが……や、緑なき衆生は度し灘し。どうも致し方の無い事じゃ。さァ御両所御支度なされえ。東中島の児島屋勘八という店が好さそ....
荘子」より 著者:岡本かの子
な声の調子で云った。 「然し、それもまた天恵に依る物化の一道程かも知れないから、致し方もあるまい。丁度わしが書物や筆を捨てて薪割りの斧を取上げたようにな」 遜....
三枚続」より 著者:泉鏡花
ただいま申しましたその焼け出されが只事じゃアありません。前世の業のようなんだから致し方はありません、柱一本立直らないで、それだけの身上がまるで0。気ばかりあせっ....
妖怪談」より 著者:井上円了
うになりましたから、どうかしてこれを防ぎたいものだといろいろ工夫をしたけれども、致し方がないので、呪咀や祈祷やなんぞをしてもらいましたが、一向ききめがないので、....
越年」より 著者:岡本かの子
かった。その代り「年内と言っても後四日、その間だけ我慢して家にいましょう」二人は致し方のないことだと諦めて新年を迎える家の準備にいそしんだ。来るべき新年は堂島を....
古事記」より 著者:太安万侶
ん。どうしましよう」と申しましたから、その王子が、お答えになつて、「それならもう致し方がない。わたしを殺してください」と仰せられました。そこで刀で王子をさし殺し....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
ころへ眼をつけて、労ってやりなさい。孤児とある以上、多少、捻くれや僻みがあっても致し方はない。その児の罪ではなく、不運の罪だ。せいぜいそう思って面倒を見てやる。....