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舂
「舂〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
舂の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
ふさがった。門を出る時も口びるはなおくやしそうに震えていた。日は植物園の森の上に
舂《うすず》いて、暮れがた近い空気の中に、けさから吹き出していた風はなぎた。葉子....
「運命論者」より 著者:国木田独歩
、ア、アッ、アッ!』と叫んで突起《つったっ》たかと思うと、又|尻餅《しりもち》を
舂《つい》て熟《じっ》と僕を見た時の顔色! 僕は母が気絶したのかと喫驚《びっくり....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
合わせて、指に粘りついた飯粒を落とした。そして配縄の引き上げにかかった。 西に
舂きだすと日あしはどんどん歩みを早める。おまけに上のほうからたるみなく吹き落とし....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
……烏帽子を被った鼠、素袍を着た猿、帳面つける狐も居る、竈を炊く犬も居る、鼬が米
舂く、蚯蚓が歌う、蛇が踊る、……や、面白い世界じゃというて、殿たちがものとは較べ....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
ござる。仏高力、鬼作左、どへんなしの天野三郎兵衛と、そのかみ三河ッ児の洒落たのが
舂引音頭に作って、この一角を宰領した三奉行の高力与左衛門、本多作左衛門、天野三郎....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
あっさりと鑑賞して却って有益な歌なのかも知れない。 ○ 稲
舂けば皹る我が手を今宵もか殿の稚子が取りて嘆かむ 〔巻十四・三四五九〕 東歌 「....
「置土産」より 著者:国木田独歩
役なれどこの二人は衣装にも振りにも頓着なく、糯米を磨ぐことから小豆を煮ること餅を
舂くことまで男のように働き、それで苦情一つ言わずいやな顔一つせず客にはよけいなお....
「子規居士と余」より 著者:高浜虚子
気は私にはないのである。」 もう二人共いうべき事はなかった。暮れやすい日が西に
舂きはじめたので二人は淋しく立上った。居士の歩調は前よりも一層怪し気であった。 ....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
を刻んで咲かせた色の、高き梢のもみじの葉の、裏なき錦の帳はあれど、蔽われ果てず夕
舂日、光|颯と射したれば、お夏は翳した袖几帳。 「ちょうど、ぱらぱらと散って来る....
「白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
二十四 十四日の八時半平林を発足して、山際を川に沿うて下ると、一里ほどで
舂米という村に出た。人家二、三十、道路山水としては格別面白くはないが、川沿の柳の....
「「ケット」と「マット」」より 著者:喜田貞吉
語られているのである。その他ケットの人が里に出て、下駄を見て不思議がったとか、立
舂を見てそれを知らなかったとか、世間によく語らるる山の馬鹿聟さんに関するお伽噺の....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
らぬ人の、義理明らかに言葉|渋滞なく云いたまえば、十兵衛満面に笑みを含みつつ米|
舂くごとくむやみに頭を下げて、はい、はい、はいと答えおりしが、願いをお取り上げ下....
「古事記」より 著者:太安万侶
波うち寄せるそこに脱ぎ棄て、 山畑《やまはた》に蒔《ま》いた茜草《あかねぐさ》を
舂《つ》いて 染料の木の汁で染めた衣服を 十分に身につけて、 水鳥のように胸を見....
「春雪の出羽路の三日」より 著者:喜田貞吉
のものであろう。自分の郷里においても、夏の夜若い男女がお寺の庭などに集まって、麦
舂きの真似をしながら、相手の歌の文句にかけて即席新作の歌をうたい、勝負を争う催し....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
君が持って来た五升の米がある、今夜の野宿に差支はない、それで今から一斗五升の米を
舂かして、明日早朝に源次郎が夫を背負って追い付く手筈に事は決ったのだ。二時間余り....