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興ずる
「興ずる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
興ずるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
検疫官は絵島丸が残して行った白沫《はくまつ》の中で、腰をふらつかせながら、笑い
興ずる群集にまで幾度も頭を下げた。群集はまた思い出したように漫罵《まんば》を放っ....
「小田原陣」より 著者:菊池寛
慰もあり。詩歌を吟じ、連歌をなし、音しづかなる所もあり。笛|鼓をうちならし乱舞に
興ずる陣所もあり。然ば一生涯を送るとも、かつて退屈の気あるべからず」と『北条五代....
「少年時代」より 著者:幸田露伴
吠えられるのは怖かったが、これはまた非常に可笑しく思ったから今以て思い出して独り
興ずる折もある位で、本宅を捜したらまだ其大巾着がどこかにあるだろうと思います。 ....
「縮図」より 著者:徳田秋声
煎餅や菓子を食べながら、冬の半夜を過ごすこともあったが、舞台の道化にげらげら笑い
興ずる観衆の中にあって、銀子はふと他国ものの寂しさに襲われたりした。 分寿々廼....
「春昼」より 著者:泉鏡花
をする気勢かと思った。いまだ昼前だのに、――時々牛の鳴くのが入交って――時に笑い
興ずるような人声も、動かない、静かに風に伝わるのであった。 フト耳を澄ましたが....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
革鞄を提げたものもあり、五人づれやら、手を曳いたの、一人で大手を振るもあり、笑い
興ずるぞめきに交って、トンカチリと楊弓聞え、諸白を燗する家ごとの煙、両側の廂を籠....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
したり、中には汚れた洋服を着たのなどがあった、四五人と道連になって、笑いさざめき
興ずる体で、高岡を指して峠を下りたとのことである。 お兼が越えた新庄というのは....
「怪奇人造島」より 著者:寺島柾史
天気の好い日は、老博士も、死人のような生残者たちも、僕から釣道具を借りて、釣りに
興ずるのだった。嵐のあとの晴れた朝だった。 大きなうねりに乗り、うねりに沈んで....
「窓にさす影」より 著者:豊島与志雄
。女学生みたいな子供っぽいところもあり、ひどく厳格な怖いところもあり、声高く笑い
興ずることもあり、真正直な理屈を主張することもあり、どうも形態の知れないひとのよ....
「戦後新人論」より 著者:坂口安吾
そうで、八ッつぁん熊さんが粋がっているのも、当時の新流行で、今日の青年がジャズに
興ずる如く、当時の青年の生活がそこに実存していたにすぎないのである。芸術本来の姿....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
に集まって夕食なのである。 今宵から、夫人の前で、かしこまって、子供達とも笑い
興ずることも出来ずに、ご飯をたべるのかと、新子が考えている矢先に、先刻の女中が上....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
ついて行って、堪能するまで聞いてやろう」「全く貴公としては珍らしい。何に対しても
興ずることのない、退屈し切ったいつもに似ず、今夜は馬鹿に面白がるではないか」「そ....
「駅夫日記」より 著者:白柳秀湖
送って目黒に来るのを見た。二人がひそひそと語らいながら、私の顔を見ては何事か笑い
興ずるような時など、私は胸を刳って嬲り殺しにされるような思いがした。 佳人と才....
「誓之巻」より 著者:泉鏡花
の飲ませたから。」 と優しき、されど邪慳を装える色なりけり。心なき高津の何をか
興ずる。 「ねえ、ミリヤアドさん、あんなものお飲ませだからですねえ。新さんが悪い....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
尺二枚の大襖である。図は四条の河原の涼みであって、仲居と舞子に囲繞かれつつ歓楽に
興ずる一団を中心として幾多の遠近の涼み台の群れを模糊として描き、京の夏の夜の夢の....