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「興醒め〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

興醒めの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
千代女」より 著者:太宰治
分も読まずに手帖を投げ出し、和子、もういい加減に、女流作家はあきらめるのだね、と興醒めた、まじめな顔をして言いました。それからは、叔父さんが、私に、文学というも....
乞食学生」より 著者:太宰治
快なやら、たまらぬのである。その人を、気の毒と思っても、自分には何も出来ぬという興醒めな現実が、はっきりわかっているので、なおさら、いやになるのだ。「代議士なん....
富士」より 著者:岡本かの子
離れて眺めているだけでも懐しみは通う山の姿、色合いだった。むしろ近付いたら却って興醒めのしそうな懸念もある遠見のよさそうな媚態《びたい》がこの山には少しあった。....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
ばかりに思いやりが良くて、自分の息子には一向無関心らしい老紳士が、粗っぽく思えて興醒めた。が、ひょっとすると、この老紳士は自分の気持を他人の上に移して、心やりに....
河明り」より 著者:岡本かの子
性分ではないのを信じているらしく、それを訊くと同時に、 「やっぱり――」と云って興醒め顔に口を噤んだ。 「そう申しちゃ何ですけれど、あたしはお嬢さんがあんまり伎....
仮装人物」より 著者:徳田秋声
ふた座を立って部屋を出た。 黒須を送り出した葉子は、すぐに部屋へ帰って来たが、興醒めのした顔でぷりぷりしていた。 「悪かったな。」 庸三が呟くと、 「だって....
稲生播磨守」より 著者:林不忘
播磨 なんだ。構わぬ。抜け抜け。余も見たい。(矢沢へ)爺い! 余計な口出しして、興醒めな奴じゃ。大名だとて武士だぞ。白刃に驚くか。抜かせい。 矢沢 それでは、お....
昔の火事」より 著者:宮本百合子
出る※《おくび》のようなものだと、余りいい気持でもきけないわけである。 ふいと興醒めたような気になって、碌三は鋏の音たかく、二三ヵ所仕上げのようなことをし、ま....
神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
、阪東小篠にけしかけられましたな?」 「では貴殿にも?」と南部集五郎は、いささか興醒めたというように、 「それでは益※恰好というもの、遁《の》がしはせぬ、お立ち....
この初冬」より 著者:宮本百合子
目の前に荒っぽいレール敷の米俵の山を見て私たちは、その米屋にかかわりはないのだが興醒めた気分になって出て来た。 豊島日の出と云えば、小学校の子供が厭世自殺をし....
佳日」より 著者:太宰治
下さい、からだには充分に気をつけて、阿片などは絶対に試みないように、というひどく興醒めの現実的の心配ばかり彼に言ってやるので、彼も面白くなくなったか、私への便り....
娘煙術師」より 著者:国枝史郎
ャ! 坊やを叩くのでございます」 「どうもな、お前様、俺にはわからぬ」老人の声が興醒めたようにいった。「お前様をピチャピチャお叩きになり、坊ちゃんをピチャピチャ....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
のことか、光広も紹由も、いっこう解せない顔つきで眼を見合わせた。 いちど興醒めた心は呼び戻しようもない気がする、それが遊びの世界であるがゆえに、よけいに....
三国志」より 著者:吉川英治
陣の風がふいて、庭上の老松の枝が折れた。孔明はふと眉を曇らせたが、なお将士の歓を興醒めさせまいと、何気ない態で杯をかさねていると、侍中の一士が、 「ただ今、趙雲....