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舌の根
「舌の根〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
舌の根の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
たかが奥山の芸人ふぜいと、今のさっきけいべつしきったそのあいきょう者が、まだ
舌の根のかわかぬうちに自分から先にたって、ぽかんと見とれだしたのも笑止千万ですが....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
よ!」 よくよくのあいきょう者です。正月だから笑わなくちゃいけねえとやったその
舌の根のかわかぬうちに、もうがんがんとお株を始めてどなりだしました。 「しゃくに....
「幻影の盾」より 著者:夏目漱石
に本づくとも言触らす。過ぐる日の饗筵《きょうえん》に、卓上の酒尽きて、居並ぶ人の
舌の根のしどろに緩《ゆる》む時、首席を占むる隣り合せの二人が、何事か声高《こわだ....
「夢十夜」より 著者:夏目漱石
からん坊主だ。どうしてもあの薬缶を首にしなくてはならん。悟ってやる。無だ、無だと
舌の根で念じた。無だと云うのにやっぱり線香の香《におい》がした。何だ線香のくせに....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
い、妙子を。」 二十一 冷か、熱か、匕首、寸鉄にして、英吉のその
舌の根を留めようと急ったが、咄嗟に針を吐くあたわずして、主税は黙って拳を握る。 ....
「趣味の遺伝」より 著者:夏目漱石
くらいだから周囲のものがワーと云うや否や尻馬《しりうま》についてすぐやろうと実は
舌の根まで出しかけたのである。出しかけた途端に将軍が通った。将軍の日に焦《や》け....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
いのです。いっそ、護衛をやめてもらおう。|儂の血でこの裁きをしたら、いつか、その
舌の根から聴くことがあるでしょうから」と異常な決意を泛べて、あろうことか、護衛を....
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
君は答えた。これは、隣同志で、非常に仲よくしていた。細君は、一寸、云いにくげに、
舌の根を縺らした。「もう、あいつ、五日も前から毎晩立ってるんですよ。あんたの家、....
「もの思う葦」より 著者:太宰治
んなに言われたら黙っているよりほかに仕様がないじゃないの。」 「舌もつれる。」「
舌の根をふるわす。」「舌を巻く。」「舌そよぐ。」 私のいう掛合いまんざいとは、....
「紅玉」より 著者:泉鏡花
堅いの候の。先祖以来、田螺を突つくに練えた口も、さて、がっくりと参ったわ。お庇で
舌の根が弛んだ。癪だがよ、振放して素飛ばいたまでの事だ。な、それが源で、人間が何....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
》にと、相談のきまったのを、こんなけがらわしい家はいやと、きっぱり断わったわしの
舌の根を見ておくんなされ。おじさん、お前こそ、お前こそ怪しい」 「怪しいとは、何....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
の広大なる光はほとばしって、それら荒々しい者どもの頭に火をつけたかのようだった。
舌の根はゆるみ、冷笑や罵詈《ばり》や歌声までが大火のように爆発した。ま横からさす....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
いるではないか。英信の曰く「今日はあの方が死ぬ日ではない」というその当日に。その
舌の根がまだ殆どかわかぬうちに。まことに妙な「時期」である。 それにひきつづい....
「夜の構図」より 著者:織田作之助
れは単なる覚悟に過ぎない。覚悟だから、その言葉通りには参らない。 例えば、その
舌の根の乾かぬうちに、新内語りの話をきいて、さすがに信吉は舌を巻いて、驚いたのだ....
「ロザリオの鎖」より 著者:永井隆
ければ死んでしまうぞ」と少しは心配になってやさしく言い聞かせましたが、ツルはもう
舌の根が凍って言葉も出ぬので、ただ首を横に強く振るだけです。そのたびに顔にべっと....