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舌先
「舌先〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
舌先の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「永日小品」より 著者:夏目漱石
歴史があるのだろう。あなたは仏蘭西語を話しますかと聞いた。いいやと答えようとする
舌先を遮《さえぎ》って、二三句続け様《ざま》に、滑《なめ》らかな南の方の言葉を使....
「幻影の盾」より 著者:夏目漱石
き》の胸先にかかる。炎は尺を計って左へ左へと延びる。たまたま一陣の風吹いて、逆に
舌先を払えば、左へ行くべき鋒《ほこさき》を転じて上に向う。旋《めぐ》る風なれば後....
「風と光と二十の私と」より 著者:坂口安吾
て私の部屋へだけ自分で御飯をたいて、いつもあたたかいのを持ってくるから、同宿の猫
舌先生がわが身の宿命を嘆いたものである。この娘の狂恋ぶりには下宿の老夫婦も手の施....
「取舵」より 著者:泉鏡花
無理に一句浮べる者もありさ。まあ思い思いに祝ッてやったと思いたまえ。」 例の饒
舌先生はまた呶々せり。 「君は何を祝った。」 「僕か、僕は例の敷島の道さ。」 「....
「決闘」より 著者:神西清
うえ彼はなかなかの役者だ、巧みな偽善者だ、何もかもよく弁えたものさ。たとえば奴の
舌先の手品を見て見給え。文明に対する彼の態度でもいい。文明のブの字も嗅いだことが....
「雪代山女魚」より 著者:佐藤垢石
いうことがない。 釣った山女魚を白焼きにして、まだ温かいうち生醤油で食べれば、
舌先に溶ける。さらに田楽焼きの魅惑的な味は、晩酌の膳に山の酒でも思わず一献を過ご....
「氷湖の公魚」より 著者:佐藤垢石
養殖ものか、網でとったものか釣ったのか、などということは少し食味に通じた人ならば
舌先で分ける。 そこで想い出すのは公魚である。公魚は氷魚と同じにこれから冬に入....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
みで、お綱の体を渡すか渡さぬかの、懸引くらべになってしまった。 けれど、三寸の
舌先では、とても孫兵衛は周馬の敵ではない。まるで、さっきから、いやこの間、この屋....
「三国志」より 著者:吉川英治
ちたまえ」と、腹心の程普は、あわてて彼の馬前に立ちふさがりながら、 「口賢い敵の
舌先に釣りこまれたりなどして、軽々しく打って出てはいけません。あなたの使命はもっ....
「柳生月影抄」より 著者:吉川英治
持薬の咳の粉ぐすりを口に含んだが、そのまま、嚥み下さずに、じっと顔を上げたなり、
舌先に溶ける薬の味をさぐっていた。 「……どう遊ばしましたか」 側に、手をつか....
「大岡越前」より 著者:吉川英治
します。――じゃあ、市の字、淋しかろうが、暫くひとりで」 と、大亀は、その軽い
舌先と、変に応じて弱くもなる物腰とで、さすがの赤螺三平をも煙に巻き、支度もそこそ....