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舌端
「舌端〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
舌端の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
ども響きなきは、吉もなければ凶もなく、声丹田より出る時は、上相声と申します。また
舌端から出る時は、下賤破敗と申します。……最も不吉は羅綱声! ではこの声に致しま....
「学生と先哲」より 著者:倉田百三
行菩薩を自覚してる彼が、国を憂い、世を嘆いて、何の私慾もない熱誠のほとばしりに、
舌端火を発するとき、とりまく群衆の心に燃えうつらないわけにはいかなかったろう。彼....
「二都物語」より 著者:佐々木直次郎
は、詩人たちが古来述べているように(そういう詩の幾多の文句を陪審官諸氏が一語一語
舌端に諳んじておられるであろうことを自分はよく知っているが、――と検事長が言うと....
「香熊」より 著者:佐藤垢石
る野獣の土の匂いを悉く去ってしまったから、羆でなければ求め得られない味はとうとう
舌端に載せてみることができなかったのである。 それは、それとして置いて北海道の....
「食指談」より 著者:佐藤垢石
小さい頭をだしていたので、これをつまんで薬味として加えたところ、鼻の奥に涼香漂い
舌端に爽烈の気を呼んで、思いがけなく心に佳饌の趣を催したのであった。 しかしな....
「海豚と河豚」より 著者:佐藤垢石
るなり』と、言うことからそれは別として山鯨、なめくじら、海豚に至るまで、その漿を
舌端に載せてみた。 ところで、山鯨のすき焼き、なめくじらの照り焼きなどは大そう....
「香魚と水質」より 著者:佐藤垢石
かりが持っている奢りらしい。 新秋の爽涼、肌を慰むるこの頃、俄に耽味の奢りが、
舌端によみがえりきたるを覚える。けだし古来、生は食にあるか性にあるか、と論ぜられ....
「木の葉山女魚」より 著者:佐藤垢石
いい。ことに鱒科の魚は油になじみがよく、天ぷら、ふらいにすると、やわらかな甘味が
舌端に溶ける。家庭の人々に、魚籠の底にならぶ紫色の魚を見せたら、どんなに喜ぶことであろう。....
「すっぽん」より 著者:佐藤垢石
川の鮎よりも一段と勝っていたことで、温泉の宿でこれを塩焼きと味噌田楽にこしらえて
舌端に載せた味覚は、永く私の記念となろう。けれど、この頃|魚漿の饗饌には少々飽い....
「たぬき汁」より 著者:佐藤垢石
即ち、今晩の呼び物であったかと推察し、箸につまんで口中へ放り込み、つぶさに奥歯と
舌端で耽味したのであったが、これはまたほんとうに何の味も素っ気もないものであった....
「姫柚子の讃」より 著者:佐藤垢石
は晩秋がくると、こまやかな脂肪が皮肉の間に乗って、川魚特有の薄淡の風味のうちに、
舌端に熔ける甘膩を添えるのだ。 奥上州の、空に聳える雪の武尊山の谷間から流れで....
「氷湖の公魚」より 著者:佐藤垢石
トルコ人ほど水をよく飲む国民はない。水玉を一献
舌端に乗せて、ころがすと、その水はどこの井戸、どこの湖水から汲んだものかをいい当....
「冬の鰍」より 著者:佐藤垢石
は冬が来ると、こまやかな脂が肉に乗って骨がもろく、川魚特有の淡泊な風味のうちに、
舌端に溶けるうま味を添えてくる。 雪の武尊山の谷間から流れ出る発知川と川場川を....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
洗う音ばかりして家内静かに、ほかには人ある様子もなく、何心なくいたずらに黒文字を
舌端で嬲り躍らせなどしていし女、ぷつりとそれを噛み切ってぷいと吹き飛ばし、火鉢の....
「海にふぐ山にわらび」より 著者:北大路魯山人
に満幅の好意を傾けて、食卓の上で、剥いては食い、割っては食おうとも、その味は遂に
舌端だけのものであって、人の心魂に味到する底のものではなかった。そこで夜を待って....