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舐
「舐〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
舐の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
た眼を後《うしろ》へ投げた。そこには小犬が尾を振りながら、頻《しきり》に黒い鼻を
舐《な》め廻していた。
九
牧野《まきの》はその後《ご》二....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
しいには違いなかったのであった。
「それからだね――」
相手は唇《くちびる》を
舐《な》めながら、いよいよもっともらしく言葉を継いだ。
「それからだね、たとい玉....
「運」より 著者:芥川竜之介
うなものさ。」
青侍は、年相応な上調子《うわちょうし》なもの言いをして、下唇を
舐《な》めながら、きょろきょろ、仕事場の中を見廻した。――竹藪《たけやぶ》を後《....
「星座」より 著者:有島武郎
をきかないで一日でも二日でも頑固に押し黙っているようなことがあった。園に対しては
舐《な》めるような溺愛《できあい》を示すのに引きかえて、兄に対してはことごとに気....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
と一口。鶺鴒の尾のごとく、左の人指をひょいと刎ね、ぐいと首を据えて、ぺろぺろと舌
舐る。 主税はむしゃりと海苔を頬張り、 「め組は可いが己の方さ、何とももって大....
「絵本の春」より 著者:泉鏡花
と、小母さんは白い顔して、ぺろりとその真紅な舌。 小僧は太い白蛇に、頭から
舐められた。 「その舌だと思ったのが、咽喉へつかえて気絶をしたんだ。……舌だと思....
「紅玉」より 著者:泉鏡花
と思え。うかつに嘴を入れると最後、大事な舌を挟まれる。やがて意地汚の野良犬が来て
舐めよう。這奴四足めに瀬踏をさせて、可いとなって、その後で取蒐ろう。食ものが、悪....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
梅の血が潮した。 (初茸と一所に焼けてしまえばいい。) 脚気は喘いで、白い舌を
舐めずり、政治狂は、目が黄色に光り、主人はけらけらと笑った。皆逆立ちです。そして....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
下町は火事だ。僥倖と、山の手は静かだっけ。中やすみの風が変って、火先が井戸端から
舐めはじめた、てっきり放火の正体だ。見逃してやったが最後、直ぐに番町は黒焦さね。....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
を開けて、青黒い顔の長い男が、中折帽を被ったまま、戸外へ口をあけて、ぺろりと唇を
舐めたのとほとんど同時であったから、窓と、店とで思わず舌の合った形になる。 女....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
しい時は私はよく馬を相手に遊びますが、馬の方でもあの大きな舌を持って来て私の顔を
舐めたりします。それはまことに可愛らしいものでございまして……。 それから馬の....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
粘々を筋を引いて、時なりませぬ蛞蝓の大きなのが一匹……ずるずるとあとを輪取って、
舐廻って、ちょうど簪の見当の欄干の裏へ這込んだのが、屈んだ鼻のさきに見えました。....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
た者がある。 (顔を見ろ、) (や、) (蒼くなれ蒼くなれ、奴、居酒屋のしたみを
舐めやあがって何だその赤い顔は贅沢だい、我が注連縄を張った町内、汝のような孑孑は....
「活人形」より 著者:泉鏡花
アありません。不足をおっしゃては女|冥利が尽きますによ。貴女お恥かしいのかえ、と
舐めるがごとく撫廻せば、お藤は身体を固うして、頭を掉るのみ答えは無し。高田はわざ....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
してあったりする。すこやかな面もちをした口に駄菓子などが投げこまれて、もぐもぐと
舐りながら峠路を登って来る。一日の仕事を終え帰路につきつつある彼女等は決して急ご....