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舟中
「舟中〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
舟中の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「少年の悲哀」より 著者:国木田独歩
「お上がりなさい」と徳は僕を促した。堤の下で「お乗りなさい」と言ったぎり、彼は
舟中《しゅうちゅう》僕に一語を交じえなかったから、僕はなんのために徳二郎がここに....
「彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
思った叔父は、船をその一つの側《わき》へ漕《こ》ぎ寄せさした。申し合せたように、
舟中《ふねじゅう》立ち上って籃《かご》の内を覗くと、七八寸もあろうと云う魚が、縦....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
生まれ故郷に花をたずねる人々である。周茂叔は、彼の夢が蓮の花の夢と混ずるように、
舟中に眠ったと伝えられている。この精神こそは奈良朝で有名な光明皇后のみ心を動かし....
「運命」より 著者:幸田露伴
らず。然れども詩情も亦饒き人たりしは疑う可からず。詩に於ては陶淵明を推し、笠沢の
舟中に陶詩を読むの作あり、中に淵明を学べる者を評して、 応物は趣 頗合し、 子瞻....
「渋江抽斎」より 著者:森鴎外
日である。この年専六は十七歳になっていた。然るに東京にある養父源吾は、専六がなお
舟中にある間に病歿した。 矢川文一郎に嫁した陸は、この年長男|万吉を生んだが、....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
を過ぎた。天気晴朗の日で、舟を呼んで渡ると、たちまちに空も水も一面に晦くなった。
舟中の人もおどろき怪しんで見まわすと、舟を距る五、六町の水上に、一個の神人の姿が....
「肝臓先生」より 著者:坂口安吾
もない。浜に立つ人影もない。 風よ。浪よ。舟をはこべ。島よ。近づけ。 先生は
舟中で娘の掌をきつく握って、手の色をみた。それは先生が肝臓疾患の有無をしらべる時....
「妾の半生涯」より 著者:福田英子
八史略』中の事実、即ち「禹《う》江《こう》を渡る時、蛟竜《こうりょう》船を追う、
舟中《しゅうちゅう》の人皆|慴《おそ》る、禹《う》天を仰いで、嘆じて曰《いわ》く....
「映画雑感(Ⅵ)」より 著者:寺田寅彦
る。上衣の胴着の下端の環が小舟の真中に腰を入れる穴の円枠にぴったり嵌まって海水が
舟中へ這入らないようにしてあるのは巧妙である。命懸けの智恵の産物である。 これ....
「旧藩情」より 著者:福沢諭吉
旧藩情|緒言《しょげん》 一、人の世を渡るはなお舟に乗《のっ》て海を渡るがごとし。
舟中の人もとより舟と共に運動を與《とも》にすといえども、動《やや》もすれば自《み....
「香魚の讃」より 著者:佐藤垢石
に変わり、とうとうの響きを打って東海道岩淵で海へ注ぎ込む。富士川|下りの三十里、
舟中我が臍の在りかを確と知る人は、ほんとうにまれであろう。 身延の駅を中心とし....
「子規居士と余」より 著者:高浜虚子
ンが沢山あるよ。」と言ったのが子規居士である。舟が揺れて居る。二人の上ったあとの
舟中に取り残されたのは碧梧桐君と余とであった。間もなく碧梧桐君もその岩に掻き上っ....
「俳人蕪村」より 著者:正岡子規
か 柳散り清水|涸《か》れ石ところ/″\ 我をいとふ隣家寒夜に鍋をならす 霜百里
舟中に我月を領す そのほか調子のいたく異なりたるものあり。 梅|遠近《をち....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
の地形港湾の形を有せざるも、西方に一帯の山脈ありて西風をとざし、港内は平穏なり。
舟中吟一首あり。 凝。 (目をこらして毎日船の格子窓に身を寄せてみれば、このまし....
「三国志」より 著者:吉川英治
たが、ついに黄河のほとりまで逃げのびて、一|舟を拾い、からくも江東へ逃げ渡った。
舟中の身辺をかえりみると、幕下の将兵わずか数名しかいなかった。けれど、彼のふとこ....