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船印
「船印〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
船印の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
客を今か今かと待ち受けているようなシナ人の両替商もある。 見ると、定紋のついた
船印の旗を立てて、港の役人を乗せた船が外国船から漕ぎ帰って来た。そのあとから、二....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
兵庫行きを急ぐ彼は船長を催促して、さかんに石炭を焚かせた。その時、川口の方面から
船印の旗を立てて進んで来る一|艘の川船が彼の目に映った。彼はその船の赤い色で長官....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
勘考これあり候ようしかるべくと存じ奉り候。日本も交易御開きに相成り候わば、御国の
船印諸州の港にて見知り候よう相成り申すべく候。高山へ格別|眼力よろしき人登り見候....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
かこの町のこの家に、時の王に仕侍する主馬頭が住んでいたことがあった。あの、十字の
船印の附いた大帆前船を操ったすぱにゃあどが、自分らの鮮血と交換に黄金を奪りに海を....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
せん。 だが、朝になって見ると、その船の上に、仙台家の定紋《じょうもん》打った
船印が立てられてあることによって、浦の民が安心しました。 御領主の御用船とあっ....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
いで、帆は七反帆であった。その帆は紺と白とをあえまぜに竪の段ダラ形で、これが藩の
船印の一ツになっていた。風がよいと、艫の方で轆轤《ろくろ》でその帆を懸声をして巻....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
の旗印であった。帆先で、翻ると、それは鮮かに――単純ではあるが、単純ゆえに、他の
船印よりも、目につくし、単純なものの力と、美しさとが、感じられた。
「あれは? ....
「藤九郎の島」より 著者:久生十蘭
年下だ。順序からいっても、この先いちばん長く生きるのはお前だから、いまのうちに御
船印と浦賀奉行の御判物《ごはんもの》を預けておく。馬鹿な考えをおこさずに、ふんば....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
じゃねえか」 「菱垣《ひがき》船か」 「菱垣にしちゃア小さすぎる。それに、菱垣の
船印《ふなじるし》がねえや」 「灘《なだ》の酒廻船《さけかいせん》か」 「新酒船....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
除けの幔幕を張りめぐらす者や、櫂をしらべる水夫楫主、または朱塗の欄の所々に、槍お
船印の差物を立てならべる侍などが、事俄かのように目を廻している。 その混雑の中....