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「船室〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

船室の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:芥川竜之介
ていた。階下の輪転機《りんてんき》のまわり出す度にちょうど小蒸汽《こじょうき》の船室のようにがたがた身震《みぶる》いをする二階である。まだ一高《いちこう》の生徒....
奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
く眠気《ねむけ》がきざして来た。――お蓮はいつか大勢《おおぜい》の旅客と、薄暗い船室に乗り合っている。円い窓から外を見ると、黒い波の重《かさ》なった向うに、月だ....
湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
※江丸の長沙を発したのは確か七時か七時半だった。僕は食事をすませた後、薄暗い船室の電灯の下《もと》に僕の滞在費を計算し出した。僕の目の前には扇が一本、二尺に....
出帆」より 著者:芥川竜之介
なった。もっとも、さっき甲板《かんぱん》ではちょいと姿を見かけたが、その後、君の船室へもサロンへも顔を出さなかったので、僕はもう帰ったのかと思っていた。ところが....
或る女」より 著者:有島武郎
も避けるように、その船員から遠ざかろうとして、つと手欄《てすり》から離れて自分の船室のほうに階子段《はしごだん》を降りて行こうとした。 「どこにおいでです」 ....
或る女」より 著者:有島武郎
と磨《みが》きのかかった皮付きの柱も、葉子に取っては――重い、硬《こわ》い、堅い船室からようやく解放されて来た葉子に取ってはなつかしくばかりながめられた。こここ....
かんかん虫」より 著者:有島武郎
は見た通りの裸一貫だろう。何一つ腕に覚えがあるじゃなし、人の隙を窺って、鈎の先で船室小盗でもするのが関の山だ。何うなるものか。女って獣は栄燿栄華で暮そうと云う外....
人魚のひいさま」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
て、それは各国の国旗が、風になびいているように見えました。人魚のひいさまは、その船室の窓の所までずんずんおよいでいきました。波にゆり上げられるたんびに、ひいさま....
故郷」より 著者:井上紅梅
来た。時はもう冬の最中で故郷に近づくに従って天気は小闇くなり、身を切るような風が船室に吹き込んでびゅうびゅうと鳴る。苫の隙間から外を見ると、蒼黄いろい空の下にし....
村芝居」より 著者:井上紅梅
ってまた一抱えずつ偸ませた。 年上の子供はまたぶらぶら船を漕ぎ出した。他の者は船室の後ろで火を起した。年弱の者はわたしと一緒に豆を剥いた。まもなく豆は煮えた。....
取舵」より 著者:泉鏡花
て、下等室は僅に三十余人を容れて肩摩すべく、甲板は百人を居きて余あるべし。されば船室よりは甲板こそ乗客を置くべき所にして、下等室は一個の溽熱き窖廩に過ぎざるなり....
余齢初旅」より 著者:上村松園
夜は船の中で寝て、翌日の昼頃にはもう上海へつくことになっていた。 夜があけて、船室から甲板に出てみると来し方の海水は青々としているけれども、行く手の海は赤い色....
西航日録」より 著者:井上円了
しげな月が高く赤道の山にかかったのである。) 本邦よりシンガポールまで日本人中船室を同じくするもの、河合操氏(陸軍少佐)および甲賀卯吉氏(造船技師)なり。毎夕....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
起因す。西洋人の十三の数をいとうは、わが邦人の四の数を忌むよりもはなはだし。余の船室は第八十号なり。今回の乗客を統計するに、総員二百五十四人中、男子百十五人、女....
私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
やあ……』 われもわれもと手を振って別れを惜しんでくれる。夜になって陰気な三等船室に帰って、ひざをかかえながら考えた。一枚の紹介状もなく、もちろん知人もいない....