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「船暈〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

船暈の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
その時を想う。奇妙なる世の中に候。先年練習艦にて遠洋航海の節は、どうしても時々|船暈を感ぜしが、今度は無病息災われながら達者なるにあきれ候。しかし今回は先年に覚....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
はこの舟に乗ってから、芸名のお玉を改めて本名のお君に返りました。慣れぬ船の中で、船暈《ふなよい》に悩まされ通しであったのがこのお君でありました。 伊勢を出る時....
聖家族」より 著者:堀辰雄
もなかった。そしてそれは彼に何となく一等船室のサロンを思わせた。 ときどき彼が船暈《ふなよい》を感じている人のような眼ざしを夫人の上に投げるのに注意するがいい....
東上記」より 著者:寺田寅彦
。いつの間にか船首をめぐらせる端艇小さくなりて人の顔も分き難くなれば甲板に長居は船暈の元と窮屈なる船室に這い込み用意の葡萄酒一杯に喉を沾して革鞄枕に横になれば甲....
」より 著者:寺田寅彦
たのである。英語の先生のHというのが風貌魁偉で生徒からこわがられていたが、それが船暈でひどく弱って手ぬぐいで鉢巻してうんうんうなっていた。それでも講義の時の口調....
箱根熱海バス紀行」より 著者:寺田寅彦
牛のようにのろい代りに、下り坂は奔馬のごとくスキーのごとく早いので、二度に一度は船暈のような脳貧血症状を起こしたものである。やっと熱海の宿に着いて暈の治りかけた....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
帰って来たのであろう。やがて彼がむむうとひと声うなったような気がしたので、さては船暈だなと僕は思った。もしそうであれば、下にいる者はたまらない。そんなことを考え....
取舵」より 著者:泉鏡花
この内に留りて憂目を見るは、三人の婦女と厄介の盲人とのみ。婦女等は船の動くと与に船暈を発して、かつ嘔き、かつ呻き、正体無く領伏したる髪の乱に汚穢を塗らして、半死....
予審調書」より 著者:平林初之輔
の、相手の心胆をこおらせるような視線を、聴き手の顔へ投げるのであった。老教授は、船暈《ふなよ》いをした人が、下腹部《したばら》に力を入れて、一生懸命に抵抗しよう....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
と、向うに港を出帆して行く汽船があります。岸で二人の人が見ております。一人の人は船暈する人ですが、一人の人は船に達者の人であります。そこで船に達者な人が「気持ち....
鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
衣類、合財袋、煙草入れ、旅の身上をのこらずこれに吊ってみせる。 駕に酔ったのは船暈より気もちが悪い。酔い癖のある者は駕の戸をあけて乗るがいい。ムカムカ頭痛がし....
鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
りの客が、ムクムクと身を起こしてあたりの旅客の様子を眺めた。 うごいているのは船暈に悩んでいる者だけであった。 「…………」 何か目と目でうなずきあうと、苫....
三国志」より 著者:吉川英治
ほど、鎖をもって、船の首尾を相繋げばこういう日にも、船の揺れは少なく、士卒の間に船暈も出ず、至極名案のようですが、万一敵に火攻めの計を謀られたら、これは一大事を....
三国志」より 著者:吉川英治
が背に負って、小舟に飛び移り、辛くも淮河のふところをなしている一商港に上陸った。船暈は土を踏むとすぐ忘れたように癒る。ここには魏の陸上本営があるので、そこへ入っ....