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船歌
「船歌〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
船歌の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「少年の悲哀」より 著者:国木田独歩
》の音をゆるやかにきしらせながら大船の伝馬《てんま》をこいで行く男は、澄んだ声で
船歌を流す。僕はこの時、少年《こども》ごころにも言い知られぬ悲哀《かなしみ》を感....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
雪時雨の間に、岩内の後ろにそびえる山々が、高いのから先に、水平線上に現われ出る。
船歌をうたいつれながら、漁夫たちは見慣れた山々の頂をつなぎ合わせて、港のありかを....
「津軽の虫の巣」より 著者:宮本百合子
となり、やがては小人の船ほどの大きさになって、耳を澄ますと、微風につれて賑わしい
船歌さえ聞えて来る。 この二艘の大船こそ、誰あろうときの大守、十代津軽矩広を乗....
「蓄音機」より 著者:寺田寅彦
ような鶏犬の声に和する谷川の音、あるいは浜べの夕やみに響く波の音の絶え間をつなぐ
船歌の声、そういう種類のものの忠実なるレコードができたとすれば、塵の都に住んで雑....
「艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
で、うすら寒い秋の夜などになると、篷のなかから貧しい漁師達が寝そびれた紛れの低い
船歌を聞くことがよくある。 月の明るいある夜のことだった。そこらに泊り合せた多....
「千世子」より 著者:宮本百合子
空と青い海の境が紫にかすんで居る事や、くだけるまっ白な波の様子、遠くひびいて来る
船歌の声なんかがうれしかった。 らんかんによっかかって千世子はいつまでもいつま....
「句合の月」より 著者:正岡子規
なんだのであるから強いては考えなんだ。聯想は段々広がって、舟は中流へ出る、船頭が
船歌を歌う。老爺生長在江辺、不愛交遊只愛銭、と歌い出した。昨夜華光来趁我、臨行奪....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
位藤原之有村。 のどかな音頭に櫓拍子の声――そして朗らかにあわせるお国口調のお
船歌が、霧の秘密につつまれている秋の鳴門の海へ指してうすれて行った。....
「三国志」より 著者:吉川英治
逆しまに逃げ出して、さんざんな敗戦に終ってしまった。 甘寧は、鐘鼓を鳴らして、
船歌高く引きあげたが、戦がやんでも、黄濁な大江の水には、破船の旗やら、焼けた舵や....