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船玉
「船玉〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
船玉の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「逆行」より 著者:太宰治
で大笑いをしている西洋の女の写真がピンでとめつけられていた。南側の壁には、紙の風
船玉がひとつ、くっついていた。それがすぐ私の頭のうえにあるのである。腹の立つほど....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
ぶまれる暗い家の内を目ざしつつ、伝六が先頭、つづいてちんまりとした善光寺辰が、風
船玉のように飛び込んだあとから名人はゆうゆうとはいっていくと、まずお公卿さまに命....
「街頭から見た新東京の裏面」より 著者:杉山萠円
て、猫も杓子《しゃくし》も文化文化とあこがれている有様は、さながらに青空を慕う風
船玉よろしくである。 こうして昇って昇って昇り詰めたら、日本はおしまいにどこへ....
「田舎教師」より 著者:田山花袋
風になびきわたった。 幌をかけた車はしずかに街道をきしって行った。 七色の風
船玉を売って歩く老爺のまわりには、村の子供がたかっていた。 六十 ....
「柿の種」より 著者:寺田寅彦
の前に動いた私の心の惰性は、ついその隣の紙風船屋へ私を導いて、そこで私に大きな風
船玉を二つ買わせた。 まんじゅうを食う事と、紙風船をもてあそぶ事との道徳的価値....
「半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
たとえがたない、美しい女像がありました。ところが、天女のようだとも言えば、女神の
船玉様の姿だとも言いますし、いや、ぴらぴらの簪して、翡翠の耳飾を飾った支那の夫人....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
しらせてジャネットが一人の男に叫んでいるのだった。そして其の男の手に持っていた風
船玉を引ったくった。男は風
船玉を奪い返すようなふりをしながらジャネットの手首を掴....
「馬地獄」より 著者:織田作之助
東より順に大江橋、渡辺橋、田簑橋、そして
船玉江橋まで来ると、橋の感じがにわかに見すぼらしい。橋のたもとに、ずり落ちたよう....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
情をした人たちの顔が現れて来る。そして、時おり、微笑を含んだ父の顔が糸の切れた風
船玉のように、彼の鼻先に近づいて来る。彼は、父の微笑の中に、ついさっきまで気づか....
「月世界跋渉記」より 著者:江見水蔭
上げて待っている。 やがて地に着くと、粉微塵になると思ったのが大違い、花火の風
船玉が落ちたくらいに音もせず一同無事にそこに立った。 互にその不思議な現象を笑....
「二葉亭追録」より 著者:内田魯庵
感じて、案外|与しやすい独活の大木だとも思い、あるいは箍の弛んだ桶、穴の明いた風
船玉のような民族だと愛想を尽かしてしまうかも解らない。当座の中こそ訪問や見物に忙....
「犬と人と花」より 著者:小川未明
年の春の長閑な日のこと、花の下にあめ売りが屋台を下ろしていました。屋台に結んだ風
船玉は空に漂い、また、立てた小旗が風に吹かれていました。そこへ五つ六つの子供が三....
「一握の髪の毛」より 著者:田中貢太郎
嫌の悪いことを知っていながら三日も往っていなかった。章一の幸福に満ちたたとえば風
船玉のふわりふわりと飛んでいるような頭の一方の隅には、編輯長の怒りに対する恐れが....
「春心」より 著者:田中貢太郎
るところがあった。そこは八幡宮の境内であった。広巳はそこへ入った。華表のしたに風
船玉売の老婆がいた。広巳は見むきもしないで華表を潜った。欅の嫩葉に彩られた境内は....