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船着き
「船着き〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
船着きの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「爛」より 著者:徳田秋声
茶屋の若旦那は、時々よその貸し座敷などから、そっと口をかけた。浪の音などの聞える
船着きの町の遊郭には、入口の薄暗い土間に水浅黄色の暖簾のかかった、古びた大きい妓....
「石狩川」より 著者:本庄陸男
ったりした。川を隔てたこちらから、遠く見ると、何か神聖な供物のようである。古びた
船着き場の屋並のなかに白く屹立《きつりつ》していた。
毎朝々々彼らはその川岸に....
「マクシム・ゴーリキイの伝記」より 著者:宮本百合子
に、碧色を帯びた眼が厳格に光っている、背の高い、いかにも美しい一人の漁師が崖下の
船着きへ下りて来た。声高く優しく云った。 「よくおいでやした」 このイゾートは....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
と》の赤間《あかま》ヶ関《せき》、播州の室津などはそれである。ことに室津は都近い
船着きであったから、遊里の体裁《ていさい》をなすまでに繁昌したものと見えます。 ....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
んだ。夏になるとね、俺の仲間のナヴェというやつといっしょにグラシエールに行って、
船着き場で泳ぎ回り、オーステルリッツ橋の前でまっ裸で筏《いかだ》の上を駆け回り、....
「サレーダイン公爵の罪業」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
年とった家庭法律顧問のようにいんぎんな態度で云った。 「ただいまボートが一双裏の
船着きへ到着いたしましてございます、漕手は六人で、ともの方には御一名の紳士が御乗....
「俊寛」より 著者:倉田百三
よろこびに持ちこたえられるように! 沖の船より銅鑼の音ひびく。 康頼 合い図だ!
船着き場へ! (はせ去る) 成経 (無言にて康頼のあとを追うてはせ去る) 俊寛 ....
「市川九女八」より 著者:長谷川時雨
を見つめた。 新潟の花街《さかりば》で名うての、庄内屋の養女だった静枝までが、
船着き場へ迎いに並んだほど、九女八の乗り込みは人気があったのだが、それも、会津屋....
「若き日の思い出」より 著者:牧野富太郎
一株を地に落してもらった。その葉をひろげたら直径が約五尺ほどもあった。これを遂に
船着き場所の富江《とみえ》まで運び、汽船と汽車とで東京へ持ってきて、上野公園内の....
「剣のうた」より 著者:マクラウドフィオナ
い槍を突いて、船がゆっくりと岸に近づくあいだ水を測っている姿が月光に黒く映った。
船着き場が見つかって海賊たちが無言で岩の上に立った時、夜は月のひかりに黄ろく、く....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
合、武蔵はいわるるままにそこへ立ち寄る。
問屋場は打出ヶ浜の渡口場に近かった。
船着きから上がる者、乗る者、ここは旅人の屯なので、草鞋をひさぐ店もあるし、旅の垢....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
出た。 「ご機嫌よう」 斉しく、そういいながら、見送り人たちは、武蔵を囲んで、
船着きの浜まで歩いて行った。 本阿弥光悦の顔が見えた。 灰屋|紹由は病のよし....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
に見出された。 渡辺党の発祥地、渡辺橋のほとりから、昼うららな下を、長柄の浜の
船着きの方へ行く二人づれがそれで。 「若殿、どうしても、思い止まりはできませぬか....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
、伯耆ノ地に上陸後には、いつのまにか見えなくなっていた。 ……ふびんや、過ッて
船着きの折、海へ落ちて。 と、廉子は後日、傷ましげに奏していたが、じつは追手に....