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船窓
「船窓〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
船窓の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「新生」より 著者:島崎藤村
りとした時を幸いにして、彼は国の方に残して行く義雄兄宛の手紙を書こうとした。円い
船窓に映る波の反射は余計にその部屋を静かにして見せた。彼は波に揺られていることも....
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
い。午後の日ざしの加減で、対岸の山々が紫がかった灰色の影を水に映して見せる。私は
船窓を開けて、つぶやくような波の音を聞いたり、舷にあたる水を眺めたりして行った。....
「大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
し、もうゆれても感じない程、船に馴れて来た。 林君のケビンで話し込んでいたら、
船窓から波が入って来て、ザンブリと被った。 コロンボへはあさって着く、コロンボ....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
正確さで一度に私を揺り起した。 ポウト・サイドの町が、埃っぽく騒ぎ立てながら、
船窓から私を招いていたのだ。 疾くのむかしに石炭の荷役が開始されて、幾艘となく....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ずつ面《かお》が揃ってくると、早くも、 「おや、ボートが一ぱい足りねえ――おや、
船窓があいている、マドロスが――もゆるさんが――まあ、荷物が――」 二人の姿が....
「東上記」より 著者:寺田寅彦
並んで行く船に苅谷氏も乗り居てこれも今日の船にて熊本へ行くなりとかにてその母堂も
船窓より首さしのべて挨拶する様ちと可笑しくなりたれど、じっとこらゆるうちさし込む....
「故郷」より 著者:井上紅梅
そがれの中に深黛色の装いを凝らし、皆連れ立って船後の梢に向って退く。 わたしは
船窓に凭って外のぼんやりした景色を眺めていると、たちまち宏兒が質問を発した。 「....
「運命のSOS」より 著者:牧逸馬
で――少し本船を離れると舷側が、途轍もなく高い黒い絶壁のように見えました。甲板や
船窓の列なりに、幾段もの灯の線が上下に重なっています。まだ音楽が聞えていました。....
「キャラコさん」より 著者:久生十蘭
は、船室の中で眼をさます。 窓掛けが、頭の上で蝶がたわむれるようにゆれている。
船窓からくる朝の光が、丸い棒のようになって横倒しにノルマンディーふうの小箪笥《コ....
「青春の息の痕」より 著者:倉田百三
の側の広場に立って、淋しい月あかりの海を見て立ちました。舟がかりをしている漁師の
船窓にはあかりがこもっていました。この寒く透き通る空は脅かすような威厳の感じを持....
「放水路」より 著者:永井荷風
だことがある。小舷《こべり》を打つ水の音が俄に耳立ち、船もまた動揺し出したので、
船窓から外を見たが、窓際の席には人がいるのみならず、その硝子板《ガラスいた》は汚....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
て、船少しく傾動す。 二日、曇り。午前、虹霓一弓、驟雨一過、南風冷を送り、秋気
船窓に入るの心地あり。また、晩に船欄に倚れば新月の西天に印するを見る、また大いに....
「三国志」より 著者:吉川英治
責任が自分に帰してくることをも、多分におそれずにいられなかった。 で、魯粛は、
船窓の閑談中に、それとなく孔明に入れ智慧を試みたりした。 「先生。――先生が孫権....
「随筆 新平家」より 著者:吉川英治
いる。 連絡船が程よい波濤とエンジンの震音をたててゆくころ、雪はやみ、サロンの
船窓に、すぐ対岸の高松が見えてくる。明日行く予定の白峯や、屋島寺などを、眼にもと....