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船首
「船首〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
船首の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
てい》のほうを見た。しかしそこにはもう乳母の姿も古藤の影もなかった。
たちまち
船首のほうからけたたましい銅鑼《どら》の音が響き始めた。船の上下は最後のどよめき....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
声がひとしきり聞こえたと思うと、船はよんどころなさそうに、右に左に揺らぎながら、
船首を高くもたげて波頭を切り開き切り開き、狂いあばれる波打ちぎわから離れて行く。....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
魚の、断末魔は、流石に豪胆な帝国の飛行将校も、正視するに、たえなかった。或いは、
船首を下にし、或いは胴中を二つに歪め、或いは、転々と苦悩し、焔を吹き、怪音をあげ....
「疑問の金塊」より 著者:海野十三
気揚々と本庁へ引上げていったことだろう。 そのとき、解纜を知らせる銅鑼の音が、
船首の方から響いてきた。いよいよお別れだ。私は帽子に手をかけた。 「お父さん。―....
「海底大陸」より 著者:海野十三
ス警部はざんねんそうに、鉄水母の浮きしずみする海面をにらんでいた。 ルゾン号は
船首をかえして、もとのクイーン号遭難現場にかえっていった。 その日の夕刻、無電....
「死の快走船」より 著者:大阪圭吉
檣柱の後側から飛び出したトラベラーを滑って、恰度カーテンを拡げたように展ぜられ、
船首の三角帆と風流に対して同じ角度を保たせながらロープで止められたままになってい....
「動かぬ鯨群」より 著者:大阪圭吉
もなく霞ませて、ほのぼのと匂やかだった。 昨夜根室を出た監視船の隼丸は、泡立つ
船首にうねりを切って、滑るような好調を続けていた。船橋には東屋氏を始め、船長に根....
「恐竜島」より 著者:海野十三
電灯をつけて足もとを注意しながら、愛犬のうなっている方角をめがけて走った。それは
船首の方であった。甲板がゆるやかな傾斜《けいしゃ》で、上り坂になっていた。 ポ....
「爆薬の花籠」より 著者:海野十三
とても光がとどかない。しかも、足もとに踏まえている甲板は、ひどく左舷へかたむき、
船首の方は、もはや海水に、ぴしゃぴしゃ洗われている。だから、気味のわるいこととい....
「戦時旅行鞄」より 著者:海野十三
博士は奇声を発して叱りつけたことだった。 間もなく夜となった。 そのうちに、
船首でえらい騒ぎが起った。舳で切り分ける波浪が、たいへん高くのぼって、甲板の船具....
「大空魔艦」より 著者:海野十三
あった大切な器具や残り少くない食糧を氷原にはこばせた。船はだんだん傾きはじめた。
船首がたかく上にもちあがって、船尾はもう氷とすれすれになった。いままで真直に立っ....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
みに本艦をはなれ、舳を飛行島に向け、水煙をたてて驀進してゆく。 長谷部少佐は、
船首に立って、友の姿はいずこぞと海面を流るる死体の一つ一つに注意をくばる。 「あ....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
何を悪戯をしているの、お前さんたち。」 と連立って寄る、汀に居た玉野の手には、
船首へ掛けつつ棹があった。 舷は藍、萌黄の翼で、頭にも尾にも紅を塗った、鷁首の....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
、でないと船が、もうその上は小蛇の力で動かんでな。底を背負って、一廻りまわって、
船首へ、鎌首を擡げて泳ぐ、竜頭の船と言うだとよ。俺は殿様だ。…… 大巌の岸へ着....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
あった。他の客も大勢乗合わせていたが、寂寞として墓のごとく、傲然とそり返っている
船首を叩く波の音は絶望にむせび泣いているようであった。ラザルスは他の人々から離れ....