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色本
「色本〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
色本の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「鉄鎚」より 著者:夢野久作
》いた、脂《あぶら》濃い洋食か支那料理に限られて来た。小説もアクドイ翻訳ものか好
色本のたぐいでなければ手にしなくなった。しまいにはそれさえも飽きて来て、神経の切....
「大衆文芸作法」より 著者:直木三十五
と云っていい。独逸《ドイツ》に於ても、諸君が丸善へ行ったら一見してわかるように黄
色本という奴が流行している。イギリスでは大衆文芸が全盛である。新興のロシヤに於て....
「装幀の意義」より 著者:萩原朔太郎
読者に対する愛敬とからして、やや高尚なる文学書類を多くパンフレツト(仏蘭西版の黄
色本の類)で出版するのは、さもあるべき筈のことではないか。この仕方で出版された書....
「伸子」より 著者:宮本百合子
て行き、そして、母の居間の唐紙をあけた。 「何御用」 多計代は、膝の上に染物の
色本をくり拡げていた。彼女は明るい障子の方に本を近づけ、しきりに色を見わけながら....
「恋の一杯売」より 著者:吉行エイスケ
不足に陥っていった)私は毛氈のような花束とアンナ・スラビナには英雄の手本という好
色本を贈ったのだが、それはスラビナの称讃を得たに過ぎなかった。 こうして私は青....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
とも、読んでいたバルビュスの作品よりも、実を言うと、巴里版ルイ・キャヴォの絵入好
色本のほうが好きらしかったことも、すべての犬をこわがって狆に対しても虚勢を張った....
「陳情書」より 著者:西尾正
|口《くち》を糊《のり》して参ったのであります。或る秘密出版社に頼まれて、所謂好
色本の原稿を書き綴って読者に言外の満足を与えた事も再三でありました。…… 偖《....
「都会の中の孤島」より 著者:坂口安吾
ズだと思われ易いことを活用する本能すらも持っていた。 それは一見カメレオンの変
色本能のように素朴なものに見えるが、人間の場合に於ては実は非常に高級な才能なのか....
「十六、七のころ」より 著者:永井荷風
ているものはない。中西屋の店先にはその頃武蔵屋から発行した近松の浄瑠璃、西鶴の好
色本が並べられてあったが、これも表紙を見ただけで買いはしなかった。わたくしが十六....