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色濃い
「色濃い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
色濃いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「地球盗難」より 著者:海野十三
として考えれば、考えられないこともなかったけれど、果してこの科学文明の世に、時代
色濃い幽霊などが現れてよいものであろうか。 宿のお内儀は、ヨロヨロした足どりで....
「河明り」より 著者:岡本かの子
覗き上げている趣であった。 その狭い井の口から広大に眺められる今宵の空の、何と
色濃いことであろう。それを仰いでいると、情熱の藍壺に面を浸し、瑠璃色の接吻で苦し....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
女郎花、地楡、桔梗、苅萱、今を盛りの満山の秋を踏み分けて上る。車夫が折ってくれた
色濃い桔梗の一枝を鶴子は握って負られて行く。
浜街道の茶店から十丁程上ると、関....
「ルバイヤート」より 著者:小川亮作
ハイヤームを知っていたならば、この東方に深く憧れた詩人の『西東詩集』には、さらに
色濃いオマル的な懐疑の色調が加えられたかも知れない。 本書に収めた一四三首はペ....
「海」より 著者:梶井基次郎
巻いた藁草履やわかめの枝なりをもらったこともあった。しかしその女の人はなによりも
色濃い島の雰囲気を持って来た。僕たちはいつも強い好奇心で、その人の謙遜な身なりを....
「長篇作家としてのマクシム・ゴーリキイ」より 著者:宮本百合子
展させてゆく(トルストイの作風)ような性質ではなく、情景も人物も、そのものとして
色濃いながらいかにもそれはゴーリキイ風なと特徴づけられる種類の、総括的雰囲気にく....
「バルザックに対する評価」より 著者:宮本百合子
人の後から得意気にオペラの棧敷へなど現れた光景は、今日の我々の想像においても相当
色濃い諷刺画である。ましてや同時代人の目に、そのような傍若無人なバルザックの姿は....
「犯人」より 著者:宮本百合子
十七日)。 ところが事件の十五日夜アリバイがはっきりしているために「やや焦燥の
色濃い東京地検堀検事正、馬場次席検事は」「教唆罪もあり得る」と語っている(七月十....
「人造人間事件」より 著者:海野十三
していながらも、博士の保護を実践しなかったことは確かに手落である。 大江山が敗
色濃いのを見てとって、雁金検事が代って丈太郎にたずねた。 「すると君は、外国のス....
「女性の諸問題」より 著者:倉田百三
清めと高めとの雛型である。古くはあるが常に新しい――永遠の物語である。 恋には
色濃い感覚と肉体と情緒とがなくてはならぬ。それは日本の娘の特色である。この点あの....
「フランケンシュタイン」より 著者:シェリーメアリー・ウォルストンクラフト
は、珍らしく変化に富んだ風景を見せている。ある地点では、峨々たる山々や、その下に
色濃いラインの河の流れる巨大な断崖の上に聳え立った古城が見え、また、とある山はな....
「明治の戦争文学」より 著者:黒島伝治
男爵等が主として書かれている。独歩はブルジョア的であるが、蘆花は封建的色彩がより
色濃い。蘆花自身人道主義者で、クリスチャンだったが、東郷大将や乃木大将を崇拝して....
「虹と感興」より 著者:上村松園
ものだと思われます。 しかし、感興も、その感興の起った時が一とう鮮やかであり、
色濃いにきまっております。時が過ぎたら、それはやはり鮮明さを欠いて、薄らいでゆく....
「艶色落語講談鑑賞」より 著者:正岡容
、たった一度でわからなくなってしまった人の思い出には、白梅の花に似た早春の匂いが
色濃い。 玉の井の、それも女の美醜までかき添えた明細地図をこしらえたのは、同じ....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
じて来たものだった。そうだ、あの少し以前に、私たちの雑誌『屋上庭園』は私の官能の
色濃い新詩「おかる勘平」で発売禁止になったものだ。ちょうどその晩に、小伝馬町の三....