艶めかしい[語句情報] » 艶めかしい

「艶めかしい〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

艶めかしいの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
交尾」より 著者:梶井基次郎
》はそれを揃《そろ》えた後肢で踏んづけているのである。こんなに可愛い、不思議な、艶めかしい猫の有様を私はまだ見たことがなかった。しばらくすると彼らはお互いにきつ....
深夜の市長」より 著者:海野十三
うするのさ。……愚図愚図していると素裸にして、冷水摩擦をやってあげるがいいこと」艶めかしい匂いが、僕の鼻をついたかと思うと、僕の身体はフワリと宙に浮き、そして何....
鍵から抜け出した女」より 著者:海野十三
には胸のところから踵のところへ届くほどのサラサラした長い布で巻かれた。なんだか、艶めかしいいい香が鼻をうった。そうだ、昨夜もこのような匂いがしたっけ。 「両手を....
蠅男」より 著者:海野十三
、それとも獣か? 蠅男は大きな眼玉をギロリと動かして、安楽椅子の上に睡る糸子の艶めかしい姿に注目した。 蠅男はそこでニヤリと気味のわるい薄笑いをして、どこに....
渾沌未分」より 著者:岡本かの子
った」 「誰も云わない。だけど、僕、その位なこと、わかる男だ」 薫は女のような艶めかしい両腕で涙を拭いた。小初は砂金のように濃かく汗の玉の吹き出た薫の上半身へ....
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
。主水之介またつねにわびしく寂しい男です。――だが、行きついたその吉原は、灯影に艶めかしい口説の花が咲いて、人の足、脂粉の香り、見るからに浮き浮きと気も浮き立つ....
続獄中記」より 著者:大杉栄
を眺めているだけでもいい気持だ。眼のふちの小皺や、まだらになった白粉のあとまでが艶めかしい趣きを添える。 僕の故郷 こんなちょいちょいしたエピソードのほかに....
地獄の使者」より 著者:海野十三
を覗きこんだ者は、そこでもう一つ違った刺戟を受けるであろう。それは皮椅子の底に、艶めかしいハンドバグが貼りついたように捨て置かれてあることだった。もちろんこのハ....
貞操問答」より 著者:菊池寛
よい場所の卓子を占領して、子供達は二人を待っていた。 準之助氏の心に、とろりと艶めかしいわだかまりが出来ていることを、新子はハッキリ感じていたが、しかし新子は....
前記天満焼」より 著者:国枝史郎
をした鉄之進が、迎えるようにして足を止めた時、 「駕籠へ付いておいでなさりませ」艶めかしい女の声がした。 見れば鉄之進の左側を、一挺の駕籠が通っている。 19....
血ぬられた懐刀」より 著者:国枝史郎
潮から乗り出し、肩の上へ黒髪を懸けいている。快く閉ざした眼の瞼の、上気して薄紅く艶めかしいことは! ポッカリと唇を無心にあけて、前歯の一部分を現わしている。それ....
仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
眼の上にあるものといえば、衣裳を通して窺われる、ふっくりとしたあやめの胸と、紫の艶めかしい半襟と、それを抜いて延びている滑らかな咽喉と、俯向けている顔とであった....
村井長庵記名の傘」より 著者:国枝史郎
んしたえ?」 「プッ」と長庵それを聞くと、いまいましそうに唾を吐いたが、 「いや艶めかしい廓言葉と白無垢鉄火の強白、交替に使われちゃどうにも俺ら手が出ねえ。一体....
娘煙術師」より 著者:国枝史郎
かせて、そよろと吹き過ぎる微風につれられ、人に知られず散っていたが、なやましくも艶めかしい眺めであった。 更けまさっても賑やかであると、いいつたえられている春....
早稲田神楽坂」より 著者:加能作次郎
道の上をちょこちょこ歩きの高い下駄の音に交って「今程は」「左様なら」など呼び交す艶めかしい嬌音が方々から聞えた。座敷著のまま毘沙門様の扉の前に額ずいているのも見....