艶消し[語句情報] » 艶消し

「艶消し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

艶消しの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
氏の手から受け取って見ればそれは一枚のオフセット版でチントレットの裸婦像だった。艶消しの珠玉のような、なまめかしい崇高美に、私は一眼で魅了されて仕舞った。従妹も....
雛妓」より 著者:岡本かの子
を思った。 酒をやめてから容貌も温厚となり、あの青年時代のきらびやかな美しさは艶消しとなった代りに、今では中年の威がついて、髪には一筋二筋の白髪も光りはじめて....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
の原因は容易く突き究めることが出来たのです。ねえ田郷さん、円廊の扉際には、外面|艶消しの硝子で平面の弁と凸面の弁を交互にして作った、六弁形の壁灯がありましたっけ....
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝」より 著者:三遊亭円朝
丈も一寸八分もありましょう、これなれば五円や十円のものはあろう」 と云いながら艶消しの厨子へ入ったまゝ懐へ入れて帰りました。お虎|婆は夜に入って楽みに寝酒を呑....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
。時に、青山君、君におめにかけるものがある。」 と恭順は言いながら、黒く塗った艶消しの色も好ましい大きな文箱を奥座敷の小襖から取り出して来た。その中にある半紙....
南路」より 著者:宮本百合子
らも鐘の響は聞えない。 石畳みの、広く高いホールには、かげの方から差し込む白い艶消しの光線が漲って、踵の音を四辺に反響させながら、旅行服の婦人が通る。うす灰の....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
瞑、漠として極むべからざる雰囲気の中において、あるとき、ある処に、光明を包んだ、艶消しの黄金色の紅が湧然として輝いた。その刹那、顫い戦く二つの魂と魂は、しっかと....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
おのろけを伺《うかが》いたいもんでございますね、寝物語の里で、いびきの声なんぞは艶消しでございますからねえ、寝ようとなさっても、寝かすことじゃございませんよ」 ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
ものを真先に投げ出している、帯を取ってしまったお土左《どざ》などは、おそらく人間艶消しの頂上でしょう。 子供なんですよ、からっきし子供なんだから、その辺のたし....
名古屋スケッチ」より 著者:小酒井不木
栄連、浪越連、廓連、睦連、昨今、税金の値上げときいて悲鳴をあげて居るのはいさゝか艶消しだが、さすがに玉は悪くない。 大須界隈 東京の浅草、大阪の千日前、京都....
釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
の里で御用呼ばわりはしたくねえんだ。お前だって女子衆の前でお繩頂戴も気のきかねえ艶消しだろう。大門出るまで放し捕りのお情だ。喜三、往生ぎわが花だぞ、器用に来い。....
鼻に基く殺人」より 著者:小酒井不木
れから電灯を取りはずして勝手元に引きかえし、検べて見るとそれは、いつものとおりの艶消し瓦斯入りの、一〇〇ボルト六〇ワットの電球であった。直ちにポケットから鑢を取....
手仕事の日本」より 著者:柳宗悦
材料にし、これに細かい泥土をまぜて漉くものであります。表面が滑かな肌ざわりを持つ艶消しの紙で、他に類を持ちません。古くは書物の用紙として悦ばれました。また地袋を....
文妖伝」より 著者:田中貢太郎
、雉子焼を喫ったことを後悔した。自動車の中あたりでもどそうとでもしたならそれこそ艶消しであった。 「お伴さんですわ」 婢の声といっしょに障子が開いてお葉と婢が....