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艶美
「艶美〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
艶美の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
《はか》らずも鼻子の訪問を受けて、余所《よそ》ながらその談話を拝聴し、その令嬢の
艶美《えんび》を想像し、またその富貴《ふうき》、権勢を思い浮べて見ると、猫ながら....
「鉄鎚」より 著者:夢野久作
……妖女……妖女……浴室の中の妖女……と叫んだほどに、烈しい熱情と、めまぐるしい
艶美さとをあらわしつつ私の眼の前に蔽《おお》いかかって来たのであった。しかしそう....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
具売り兼|幻師《てじなし》軽業師《かるわざし》で歌舞乞食し行《ある》き、その妻女
艶美でしばしば貴人に御目留まる賤民乾闥婆と呼ばるるあり。ヴォルテールいわく、『聖....
「源氏物語」より 著者:紫式部
立って行くのを姫君も乳母もつらく思ったが、宮は平然としておいでになって、驚くべく
艶美な人である、いったい誰なのであろうか、右近の言葉づかいによっても普通の女房で....
「樋口一葉」より 著者:長谷川時雨
史にも、ほろ苦い涙の味がある。どの作のどの女《ひと》を見ても、幽艶、温雅、誠実、
艶美、貞淑の化身《けしん》であり、所有者でありながら、そのいずれにも何かしら作者....
「豊竹呂昇」より 著者:長谷川時雨
滑脱な、というより魅力をもった声の主だ。彼女の顔かたちが豊艶なように、その肉声も
艶美だ。目をつぶって聴いていると、阪地の人特有な、艶冶《えんや》な媚《こび》がふ....
「魔都」より 著者:久生十蘭
うに見えたのである。
巡査が出て行くと入れ違いに、花が保名狂乱といったような、
艶美に取乱したようすで入って来ると、いきなり真名古の傍へ駆け寄って、
「真名古さ....
「植物知識」より 著者:牧野富太郎
たとある。実際にその咲いている花に対せば淡粧《たんしょう》美人のごとく、実にその
艶美《えんび》を感得《かんとく》せねば措《お》かない的のものである。 栽培はき....
「浮世絵画家の肉筆」より 著者:上村松園
の筆は錦絵の上で賞玩すべきものだと私は思います。 ○ 錦絵のもつあの
艶美な夢心地のような韻致――と申しますか、匂いと言いますか、人の魂に滲みこんでく....
「『偶像再興』序言」より 著者:和辻哲郎
身を捕えて動かさせなかった。それが地獄の劫火に焚かるべき罪であろうとも、彼はその
艶美な肌の魅力を斥けることができない。そこに新しい深い世界が展開せられている。魂....
「古寺巡礼」より 著者:和辻哲郎
左には、薬師寺(?)の、破損はひどいが稀有に美しい木彫の観音があって、ヴィナスの
艶美にも似た印象をわれわれに与える。その後方には法隆寺の小さい観音が立っている。....
「霊的本能主義」より 著者:和辻哲郎
去ったる肉骸を覆うてごまかさんとするは醜の極みである。血なき大理石の像にも崇高と
艶美はある。冷たきながらも血ある「理性権化」先生は蝦蟇と不景気を争う。この道徳の....
「増長天王」より 著者:吉川英治
なければならなかった。たしかに、久米一は名陶工であったには相違ない。色鍋島の絢爛
艶美な彫琢と若々しい光彩の漲った名品が、この老いほうけた久米一の指から生れて、他....