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芒
「芒〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
芒の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
さえ危うくなった。そこへ、切った犬の数よりも、はるかに多い野犬の群れが、あるいは
芒原《すすきはら》の向こうから、あるいは築土《ついじ》のこわれをぬけて、続々とし....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
車は苦しそうに煙を吹きかけ吹きかけ、雨交《あめまじ》りの風に戦《そよ》ぎ渡った青
芒《あおすすき》の山峡《やまかい》を走っている。……
―――――....
「影」より 著者:芥川竜之介
ったここへは、滅多《めった》に光を落して来ない。が、海の近い事は、疎《まばら》な
芒《すすき》に流れて来る潮風《しおかぜ》が明かに語っている。陳はさっきからたった....
「二人小町」より 著者:芥川竜之介
四
数十年|後《ご》、老いたる女|乞食《こじき》二人、枯
芒《かれすすき》の原に話している。一人は小野の小町、他の一人は玉造《たまつくり》....
「路上」より 著者:芥川竜之介
そうじゃないか。どうだ、もう追《おっ》つけ完成しそうかね。」
俊助はようやく鋒
芒《ほうぼう》をおさめながら、短くなった金口《きんぐち》を灰皿の中へ抛《ほう》り....
「藪の中」より 著者:芥川竜之介
いございません。それは石橋の少し先に、長い端綱《はづな》を引いたまま、路ばたの青
芒《あおすすき》を食って居りました。
この多襄丸《たじょうまる》と云うやつは、....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
男に生れたる、と云う陽気でもなく、虫を聞く時節でもなく、家は古いが、壁から生えた
芒も無し、絵でないから、一筆|描きの月のあしらいも見えぬ。 ト忌々しいと言えば....
「悠々荘」より 著者:芥川竜之介
Sさんは僕等をふり返って言った。 「この別荘の主人は肺病患者だよ。」 僕等は
芒の穂を出した中を「悠々荘」の後ろへ廻って見た。そこにはもう赤錆のふいた亜鉛葺の....
「追憶」より 著者:芥川竜之介
はこの言葉を聞いた時、かすかに寂しい心もちがした。その人は少女に似合わない、萩や
芒に露の玉を散らした、袖の長い着物を着ていたものである。 一八 相撲 ....
「海異記」より 著者:泉鏡花
、潮の陣を防ぎ止めて、崩れかかる雪のごとく鎬を削る頼母しさ。砂山に生え交る、茅、
芒はやがて散り、はた年ごとに枯れ果てても、千代万代の末かけて、巌は松の緑にして、....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
合わせたまえる、手かさねの両の袖口に、塗骨の扇つつましく持添えて、床板の朽目の青
芒に、裳の紅うすく燃えつつ、すらすらと莟なす白い素足で渡って。――神か、あらずや....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
なれど、不気味じゃで、誰も、はい、その水を飲みたがりませぬ処から、井桁も早や、青
芒にかくれましたよ。 七日に一度、十日に一度、仁右衛門親仁や、私がとこの宰八―....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
つづけて、なだらかに前来た片原の町はずれへ続く、それを斜に見上げる、山の端高き青
芒、蕨の広葉の茂った中へ、ちらりと出た……さあ、いくつぐらいだろう、女の子の紅い....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
い、雲を落ちた水のような畝った道を、とぼついて、堪らなくなって――辻堂へ、路傍の
芒を分けても、手に露もかかりません。いきれの強い残暑のみぎり。 まあ、のめり込....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
と肩ずれに、船を見れば、苫|葺いたり。あの位高かった、丘は近く頭に望んで、崖の青
芒も手に届くに、婦人たちの姿はなかった。白帆は早や渚を彼方に、上からは平であった....