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芥子
「芥子〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
芥子の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
々の間にはかまびすしく持ち出されている間に、その反対の傾向は、殻《から》を破った
芥子《けし》の種《たね》のように四方八方に飛び散った。こうして何か今までの日本に....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
り》を立てても行列が通ったであろう。
この広《ひろ》ッ場《ぱ》でも目の及ぶ限り
芥子粒《けしつぶ》ほどの大《おおき》さの売薬の姿も見ないで、時々焼けるような空を....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
四十九 早瀬はその水薬の残余を火影に透かして、透明な液体の中に、
芥子粒ほどの泡の、風のごとくめぐる状に、莞爾して、 「面白い!」 と、投げる様....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
、虹が燃えるより美しかった。恋の火の白熱は、凝って白玉となる、その膚を、氷った雛
芥子の花に包んだ。姉の手の甘露が沖を曇らして注いだのだった。そのまま海の底へお引....
「紅玉」より 著者:泉鏡花
思議なその大輪の虹の台、紅玉の蕊に咲いた花にも、俺たちが、何と、手を着けるか。雛
芥子が散って実になるまで、風が誘うを視めているのだ。色には、恋には、情には、その....
「七宝の柱」より 著者:泉鏡花
印を帯び、錦袍に包まれた、三つの屍がまだそのままに横わっているそうである。 雛
芥子の紅は、美人の屍より開いたと聞く。光堂は、ここに三個の英雄が結んだ金色の果な....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
これかと、いやこの目の疎いを思遣って、御自分に御精魂な、須弥磐石のたとえに申す、
芥子粒ほどな黒い字を、爪紅の先にお拾い下され、その清らかな目にお読みなさって……....
「縷紅新草」より 著者:泉鏡花
、小僧には内証らしく冷して置いた、紫陽花の影の映る、青い心太をつるつる突出して、
芥子を利かして、冷い涙を流しながら、見た処三百ばかりの墓燈籠と、草葉の影に九十九....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
にわざと鄙めいた誂で。 日車は莟を持っていまだ咲かず、牡丹は既に散果てたが、姫
芥子の真紅の花は、ちらちらと咲いて、姫がものを言う唇のように、芝生から畠を劃って....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
と引いて、はっと留まって、衝と失くなる。 後がたちまち真暗になるのが、白の一重
芥子がぱらりと散って、一片葉の上に留りながら、ほろほろと落ちる風情。 「こりゃ、....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
く、豆位になって、足の甲を蠢めいて、ふっと拇指の爪から抜ける。その時分には、もう
芥子粒だけもないのです、お綾さんの爪にも堪らず、消滅する。 トはっと気を返して....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
たくさん筍が生えていたが生憎ナマで役に立たない。そのほか菜種があったが実を結び、
芥子菜は花が咲いて、青菜は伸び過ぎていた。 阿Qは試験に落第した文童のような謂....
「おばけずきのいわれ少々と処女作」より 著者:泉鏡花
生れ来ぬぞ……その時先生が送られた手紙の文句はなお記憶にある…… 其の胆の小なる
芥子の如く其の心の弱きこと芋殻の如し、さほどに貧乏が苦しくば、安ぞ其始め彫※錦帳....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
女性やらむ、髪高等に結いなして、姿も、いうにやさしきが、いと様子あしく打悩み、白
芥子の一重の散らむず風情。…… むかし義経卿をはじめ、十三人の山伏の、鰐の口の....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
す。 どこまで始末に了えねえか数が知れねえ。可いや、地尻の番太と手前とは、己が
芥子坊主の時分から居てつきの厄介者だ。当もねえのに、毎日研物の荷を担いで、廓内を....