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花の姿
「花の姿〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
花の姿の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「夏秋表」より 著者:立原道造
るい海光に曝されつづけた私の眼に、おなじ名の花とおもえない、みすぼらしいみじめな
花の姿が強いられた。田中一三に私が教えたようには杉浦明平が私に教えるわけはなかっ....
「薤露行」より 著者:夏目漱石
てな》傾けて舟を通したるあとには、軽《かろ》く曳《ひ》く波足と共にしばらく揺れて
花の姿は常の静《しずけ》さに帰る。押し分けられた葉の再び浮き上る表には、時ならぬ....
「新生」より 著者:島崎藤村
の花がそこにも春の深さを語っていたことを胸に浮べた。その支那風《しなふう》な濃い
花の姿は日頃花好きな姪《めい》にでも見せたいものであったことを胸に浮べた。彼はま....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
と時を同じくして起こっているようである。無意識のゆえに麗しく、沈黙のために芳しい
花の姿でなくて、どこに処女の心の解ける姿を想像することができよう。原始時代の人は....
「ルバイヤート」より 著者:小川亮作
酒壺を持って来い、 水のほとりの青草の茂みのあたり。 そら、めぐる車*は月の面、
花の姿を くりかえし盃にしたり、また壺にしたり。 67 昨夜酔うての仕業だっ....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
花、これを受け取る。貴女の面、凄きばかり白く※長けたり。 露も散らさぬお前たち、
花の姿に気の毒だね。(下りかかりて壇に弱腰、廊下に裳。) 薄 勿体ないことを御意....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
。鋼鉄の宮殿の中を、栗鼠のようにちょこちょこととびまわって、雑用をつとめていた梨
花の姿だった。 「梨花か。なぜそんなところに寝ているんだ。波にさらわれてしまうで....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
の声も滴るがごとき影に、框も自然から浮いて高い処に、色も濡々と水際立つ、紫陽花の
花の姿を撓わに置きつつ、翡翠、紅玉、真珠など、指環を三つ四つ嵌めた白い指をツト挙....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
もう一度と思って来ました。」 と早、離れてはいたが、謙造は傍なる、手向にあらぬ
花の姿に、心置かるる風情で云った。 「よく、参らっしゃる、ちとまた休んでござれ。....
「梅花の気品」より 著者:豊島与志雄
、それこそ真に梅花を観るの境地である。その一本の老樹のたたずまいと、その清らかな
花の姿と、その脈々たる香と、その清冷な早朝の空気とは、ただ一つ梅花の気品となって....
「春の幻」より 著者:豊島与志雄
や菜種や紫曇英などの花が咲き乱れている。葉が少くて花が多く群ってるのは、宛も人造
花の姿である。自然に咲いた花によりも、室咲の花、紙や布で拵えた花、それにより多く....
「母の上京」より 著者:坂口安吾
の母は虫の如くにうごめいてゐた。けれども二つは別物ではなく、娘もやがて虫となる。
花の姿の娘に、花の心がないからだ。だから、虫にも、花の心が有り得ない。自分の心と....
「水鬼」より 著者:岡本綺堂
る一種の藻のような浮き草だ。なんでも夏の初めから秋の中ごろへかけて、水の上にこの
花の姿をみることが多いようだ。雪のふるなかでも咲いているというが、それはどうも嘘....
「水晶の栓」より 著者:新青年編輯局
条交ってはおれど、まだ若々しい婦人、身の廻りは質素だけれども、脊は高く、嫋々した
花の姿、いかにも長い間の哀愁を語っている様に思われる。 『ハテナ。あのお女はどこ....
「公園の花と毒蛾」より 著者:小川未明
は、言葉をつづけて、 「ほんとうにさびしい原であります。どこを見まわしても、赤い
花の姿を見ないのです。私は、ただ、あなたの姿を見つけたばかりにここへ下りてきまし....