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花の色
「花の色〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
花の色の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「不思議な島」より 著者:芥川竜之介
しら》を撫《な》でまわしながら、『この野菜の色は何とも云われない。薔薇《ばら》の
花の色と大空の色とを一つにしたようだ』と云っていましたよ。」
老人「そうでしょ....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
く言い捨てて乗り込みたり。 その年紀《としごろ》は二十三、四、姿はしいて満開の
花の色を洗いて、清楚《せいそ》たる葉桜の緑浅し。色白く、鼻筋通り、眉《まゆ》に力....
「二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
ンに馴れて、人の掌にも帽子にも遊ぶと聞く。 何故に、わが背戸の雀は、見馴れない
花の色をさえ恐るるのであろう。実に花なればこそ、些とでも変った人間の顔には、渠ら....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
たため、勝手の暗い……その……誰だか。 十一 妙子の手は、矢車の
花の色に際立って、温柔な葉の中に、枝をちょいと持替えながら、 「こんなものを持っ....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
ようになり、そこに据えられてある一脚の腰かけの上に腰を下して、泰西渡来の鮮やかな
花の色と仄かに漂っている香りとに酔っていたが、わが魂はそぞろにとおくなるのを覚え....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
に柔かいうす紅や萌黄の芽出しの色が一面に漉き込まれている。漉き込み剰って強い塊の
花の色に吹き出しているところもある。川幅の大半を埋めている小石の大河原にも若草の....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
な家つづきの狭い町々を背景として、かれらが売り物とする幾鉢かの白や紅やむらさきの
花の色が初めてあざやかに浮き出して来るのである。郊外の朝顔売りは絵にならない。夏....
「春昼」より 著者:泉鏡花
僅に限あるを語るに過ぎず。足許の細流や、一段颯と簾を落して流るるさえ、なかなかに
花の色を薄くはせぬ。 ああ目覚ましいと思う目に、ちらりと見たのみ、呉織文織は、....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
のではない、前に大鷲がうつぎの森の静粛を破って以来、絶えず両人の身の辺に飛交う、
花の色と等しい、小さな、数知れぬ蝶々で。 お雪は双の袂の真中を絞って持ち、留ま....
「獄中消息」より 著者:大杉栄
はいつの間にか夏に近づいたのだね。途で四谷見附の躑躅を見た。桃散り桜散り、久しく
花の色に餓えたりし僕は、ただもう恍惚として酔えるがごときうちに、馬車は遠慮なくガ....
「中支遊記」より 著者:上村松園
える。いまは葉を落とした桃の木がある。 「あれが咲いている頃やあたらな」 と、
花の色を心のなかに描いて、どんなによいだろうと息をのむ。 遠景の山には平山堂、....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
を照した。 けれども、その最もよく明かに且つ美しく照したのは、雪の風情でなく、
花の色でなく、お杉がさした本斑布の櫛でもない。濃いお納戸地に柳立枠の、小紋縮緬の....
「活人形」より 著者:泉鏡花
動きもせでいたりけり。 「約束通り寝に来た。と肩に手を懸け引起し、移ろい果てたる
花の色、悩める風情を打視め、「どうだ、切ないか。永い年月よく辛抱をした。豪い者だ....
「西航日録」より 著者:井上円了
風流癖、来印河辺訪故人。 (みわたすかぎりの青々とした山は、雨に洗われて一新し、
花の色麦の色にすでになごりの春を知る。この壮大な旅ではまだ風流心の癖がぬけ切らず....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
花光麦色已残春、壮游未。 (みわたすかぎりの青山は雨に洗われて緑もあらたにみえ、
花の色や麦の色にもすでに春の名残を思わせる。この壮大な旅でもなお風流を求める癖か....