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花の雲
「花の雲〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
花の雲の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
中に吸い込まれていったあとでした。 二 かくしてその三日目です。
花の雲、鐘は上野か浅草かのその花はもう大方散りそめかけていましたが、それだけに今....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
か、天日黄ばんで見えたり。 ◯焼け跡も疎開も知らぬ桜哉 ◯分解の敵機も散るや
花の雲 ◯去る四月五日、永田徹郎大尉の奮戦談が新聞に出た。その前日とその日の朝の....
「縷紅新草」より 著者:泉鏡花
のうとした。それがその夜の辻町である。 同時に、もう一つ。寂しい、美しい女が、
花の雲から下りたように、すっと翳って、おなじ堀を垂々下りに、町へ続く長い坂を、胸....
「錦木」より 著者:宮本百合子
ものこらず、雲かとまがう万|朶《ダ》の桜、下には若草のみどりのしとね、上には紅の
花の雲、花の香にようてかすむ月かげは欄干近くその姿をなげる。 一刻千金も高なら....
「異郷」より 著者:寺田寅彦
うな心持であった。そして鉛のように重いアパシイが全身を蔽うような気がした。美しい
花の雲を見ていると眩暈がして軽い吐気をさえ催した。どんよりと吉野紙に包まれたよう....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
咲くと西国寺では毎年花供養というものがあって、賑やかな人出であった。 鐘の音は
花の雲の間から聞えて山にひびいた。門前にならぶ店々。麗衣の人や、漁民の群れ、近郷....
「桜花を詠める句」より 著者:杉田久女
の句は多いいが、ここには人間的な争閨も、愛慾も、小自我もない。只輝く星と咲き匂う
花の雲と。星がまたたけば花もゆらぐ。星を仰ぎ花の美にうたれる時、吾人の心中一点の....
「番町皿屋敷」より 著者:岡本綺堂
える若い侍が麹町の山王の社頭の石段に立って、自分の頭の上に落ちかかって来るような
花の雲を仰いだ。彼は深い編笠をかぶって、白柄の大小を横たえて、この頃|流行る伊達....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
―更めて松の幹にも凭懸って、縋って、あせって、煩えて、――ここから見ゆるという、
花の雲井をいまはただ、蒼くも白くも、熟と城下の天の一方に眺めようとしたのであった....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
て、急に上げた瓜核顔が、差向いに軽く仰向いた、眉の和やかさを見た目には、擬宝珠が
花の雲に乗り、霞がほんのりと縁を包んで、欄干が遠く見えてぼうとなった。その霞に浮....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
の桜咲きにけり ただ かりそめの 宿と思ふに これらの御製にみても、吉野はもう
花の雲だったにちがいない。そして一月いらい、足利方の目をくらましては、都を出奔し....