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花心
「花心〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
花心の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「彼 第二」より 著者:芥川竜之介
ばかりではない。その部屋のカミンに燃えている火も、火《ほ》かげの映《うつ》った桃
花心木《マホガニイ》の椅子《いす》も、カミンの上のプラトオン全集も確かに見たこと....
「箕輪心中」より 著者:岡本綺堂
《ま》の山水の一軸をおぼろに照らしていた。青銅《からかね》のうす黒い花瓶の中から
花心《しべ》もあらわに白く浮き出している梅の花に、廓の春の夜らしいやわらかい匂い....
「階段」より 著者:海野十三
、はじめて眼をあげて彼女の顔をみあげた。おお、これは又、なんという麗人であろう。
花心のような唇、豊かな頬、かすかに上気した眼のふち、そのパッチリしたうるおいのあ....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
う。
清い、単純な、温かな其花を見つめて居ると、次郎さんのニコ/\した地蔵顔が
花心から彼を覗いた様であった。
(明治四十一年)
きぬや
明治....
「おもかげ」より 著者:宮本百合子
明るさも海のようで、朝子はその中に仰向けに浮んだように目瞬きもしなかった。 桃
花心木《マホガニー》色の半円形のテーブルの上のコップに、日本の狐のしっぽのような....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
がの駒井にも適切な判断は下せない。いっそ、ばかばかしければばかばかしいなりに、梅
花心易《ばいかしんえき》というようなものにたよって、当座の暗示を試してみるも一興....
「源氏物語」より 著者:紫式部
ことができなかったということをほのめかして薫をなだめていた。 紫の色は通へど藤の
花心にえこそ任せざりけれ まじめな性質の人であったから深く同情をしていた。薫は....
「源氏物語」より 著者:紫式部
くやしめを結ふらん とお言いになった、冗談のように。 「霧深きあしたの原の女郎
花心をよせて見る人ぞ見る だれでも見られるわけではありませんから」 などと薫....
「源氏物語」より 著者:紫式部
花盛りになって、薫は近い二条の院の桜の梢を見やる時にも「あさぢ原主なき宿のさくら
花心やすくや風に散るらん」と宇治の山荘が思いやられて恋しいままに、匂宮をお訪ねし....
「高原」より 著者:寺田寅彦
カワラマツバの小さな四弁花は弁と弁との間から出た雄蕊がみんな下へ垂れ下がって
花心から逃げ出しそうにしている。ウツボグサの紫花の四本の雄蕊は尖端が二た叉になっ....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
すね」 「今度は君の番よ」 と書店の主人が私に促した。 「久方の月夜を清み梅の
花心に咲きて吾が思える君」 私はいささかきまり悪かった。 「少年らしく、純粋な....
「金狼」より 著者:久生十蘭
払下品なのだろう、天蓋のついた物々しい寝台がどっしりとすわっていた。窓のそばに桃
花心木《マホガニ》の書机がひとつ、椅子がひとつ、床の上には古新聞や尿瓶《しびん》....
「植物知識」より 著者:牧野富太郎
《かよう》、花色|種々多様《しゅじゅたよう》で、何十種もの園芸的変わり品がある。
花心《かしん》に黄色の多雄蕊《たゆうずい》と、三ないし五の子房《しぼう》がある。....
「妻」より 著者:神西清
礼だけど、イ※〕も……」 「ええ? そう、そう。……あのデスクと、それからあの桃
花心木の戸棚は、ジューコフ将軍の農奴だった素人指物師のグレーブ・ブトィガが、親爺....