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「花時〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

花時の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
街頭から見た新東京の裏面」より 著者:杉山萠円
中でも面白いのは夫婦別れの相談で、三四月頃まで絶対にないと云ってもよかったのが、花時から急に殖えて来て押すな押すなの盛況を見せた。 このような夫婦別れに関係し....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
し雲切れがしているから、午過《ひるす》ぎからは明るくなるかと思いますが、なにしろ花時ですから不安心ですよ」 半分あけてある窓の間から、半七はうす明るくなった空....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
になって云った。 「そうですね」 一軒の掛茶屋を見つけて、二人は腰をおろした。花時をすぎているので、ほかには一人の客も見えなかった。老人は筒ざしの煙草入れをと....
三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
嬢様はめったに外へも出ない。たゞ垂れ籠めて鬱陶しそうに春の日永を暮している。殊に花時の癖で、今年の春も雨が多い。そばに附いている者までが自然に気が滅入って、これ....
めでたき風景」より 著者:小出楢重
。 そこで私は外出や行楽は必ず日曜祭日以外においてすることにきめている。そして花時や祭日は家に籠居してもって楽しみとする。 しかしながら私がもし酒がのめたと....
大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
考える。まア洋行も監獄へ入ったような気もするよ。早く苦役を了えて、出獄し度いよ。花時分に日本へ帰ったら、出獄の日のK氏の肖像でもかくかね。 昼のうちは、この頃....
諸国の玩具」より 著者:淡島寒月
ったものらしい。もっとも今は伊香保だけしか売っていないようですが、昔は東京にでも花時などに売っているのを往々見かけた。昔東京で僕らが見たのは、胴と同じように、頭....
後の業平文治」より 著者:三遊亭円朝
法、抂げる訳になりませぬから、文治お町の両人を駕籠に乗せて奉行所へ引立てました。花時の向島、敵討があると云うので土手の上は浪を打ちますよう、どや/\押掛けてまい....
俳優倫理」より 著者:岸田国士
行ったことがある人なら、京都では例えば嵐山の景色を想像する。仮りに言葉の頃でなく花時に行った人なら、花の頃の嵐山を頭に浮べて、花が川の水に映って非常に明るい光に....
幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
で仕事をしていると、ぞろぞろ前を人が通る。これが皆佐竹の原へ行くのだということ。花時に上野の方へ人出の多いは不思議がないが、昼でも追い剥ぎの出そうな佐竹の原へこ....
レモンの花の咲く丘へ」より 著者:国枝史郎
。 少年 (悦しそうに頷き)ええ、ええ、暖かい丘の上に私どものお家はあったのよ。花時にはいい香がかおって来て、桃色の窓掛の裾から私どものお室へはいって来てよ、そ....
雪柳」より 著者:泉鏡花
所で逢った事がある。…… 師匠明流の情で、弟子小僧に、住込んだ翌年の五月です。花時に忙がしい事があって用が立込んだかわりに、一日お暇が出て、小遣を頂いた。師匠....
早稲田神楽坂」より 著者:加能作次郎
つけるのみで、他はどうしたわけか立枯れになってしまった。一頃は見附の桜といって、花時になると電車通りの所から停車場までの間が花のトンネルになり、停車場沿いの土手....
秋の鬼怒沼 」より 著者:木暮理太郎
いる。紅に染った葉の色も霜や雪に焼けて、少し黒ずんでいた。草間には小岩鏡の群落が花時の美観を偲ばせ、蔓苔桃の紅い実がこぼれ散った宝玉を思わせる。 原のほぼ中央....