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花曇
「花曇〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
花曇の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「春」より 著者:芥川竜之介
一
ある
花曇りの朝だった。広子《ひろこ》は京都《きょうと》の停車場から東京|行《ゆき》の....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
申せば私が初めてその沙門を見ましたのも、やはり其頃の事でございました。確か、ある
花曇りの日の昼中《ひるなか》だったかと存じますが、何か用足しに出ました帰りに、神....
「彼」より 著者:芥川竜之介
った。彼は彼の恋愛を僕にも一度も話したことはなかった。が、ある日の午後、――ある
花曇りに曇った午後、僕は突然彼の口から彼の恋愛を打ち明けられた。突然?――いや、....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
ちに駕籠を屋敷へ引き返させました。 四 やがてのことにしっとりと
花曇りの日は暮れて、ひたひたと押し迫って来たものは、一刻千金と折紙のつけられてい....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
百八町ひとわたり一円が、薄日の影も淡く銀がすみにけむって、のどかさいうばかりない
花曇りでした。 しかし、いっこうにのどかでないのは、宵越しに鼻をつままれたまま....
「仮装観桜会」より 著者:佐左木俊郎
。 「晴れる晴れる。大丈夫晴れるよ」 仮面の男が街頭の空を見上げて言った。 「
花曇りさ」 「青空が見えてきたよ」 同じ仮面の男が言った。 前田鉄工場の仮装....
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
ぼれそうなんです。……」 糸子は黙って聴いている。小野さんも黙って聴いている。
花曇りの空がだんだん擦《ず》り落ちて来る。重い雲がかさなり合って、弥生《やよい》....
「草枕」より 著者:夏目漱石
行《あるい》て行く。余は覚えず鉛筆を落して、鼻から吸いかけた息をぴたりと留めた。
花曇《はなぐも》りの空が、刻一刻に天から、ずり落ちて、今や降ると待たれたる夕暮の....
「妖術」より 著者:泉鏡花
らいだけれど、晩になると、柳の風に、黒髪がひやひやと身に染む頃。もうちと経つと、
花曇りという空合ながら、まだどうやら冬の余波がありそうで、ただこう薄暗い中はさも....
「新茶のかおり」より 著者:田山花袋
らである。生殖を営んで居る間の衰えということをある時つくづく感じたことがあった。
花曇り、それが済んで、花を散らす風が吹く。その後に晩春の雨が降る。この雨は多く南....
「不尽の高根」より 著者:小島烏水
られて、西日さす銀覆輪の雲間から、この山を見た、それが今まで、雨や、どんよりした
花曇りに妨げられて、逢いたくて逢えない顔であった。私は躍り上るように喜んだ、ほん....
「日本人の自然観」より 著者:寺田寅彦
」の適切な訳語を外国語に求めるとしたら相応な困惑を経験するであろうと思われる。「
花曇り」「かすみ」「稲妻」などでも、それと寸分違わぬ現象が日本以外のいずれの国に....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
というようなものを感じた。それからずうッとO市に帰ったのである。 今日は八日、
花曇りの空は重々しく垂れかかってる。こうして机に倚りかかってぼんやりしてると、過....
「桜花を詠める句」より 著者:杉田久女
と、私は思うのである。 花衣ぬぐやまつはる紐いろ/\ 久女 嵐山の枯木もすでに
花曇り 同 野々宮を詣でじまひや花の雨 同じ (「花衣」二号 昭和七年四月)....
「死児を産む」より 著者:葛西善蔵
岸桜がふくらみかけたといって、写真も出ていたが、なるほど、久しぶりで仰ぐ空色は、
花曇りといった感じだった。まだ宵のうちだったが、この狭い下宿街の一廓にも義太夫の....