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花笠
「花笠〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
花笠の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「ゆず湯」より 著者:岡本綺堂
》がうすら寒そうにみえた。宵宮《よみや》の十四日には夕方から霧のような細かい雨が
花笠の上にしとしとと降って来た。 踊り屋台はぬれながら町内を練り廻った。囃子の....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
ァめ、お株を云ってやあがる。長生きがしたくなければ、早くくたばってしまえ。」と、
花笠をかぶった一人が罵った。 それが讖をなしたわけでもあるまいが、阿母さんはそ....
「鬼涙村」より 著者:牧野信一
面をかむって威張ったりしている場面が見えた。そろいの着物なども出来あがり、壁には
花笠や山車《だし》の花がかかって、祭りの近づいているけしきはどの家を眺めても露《....
「渋江抽斎」より 著者:森鴎外
氏を冒し、小説家の群に投じ、『絵入自由新聞』に続物を出したことがある。作者|名は
花笠文京である。古渡は風采揚らず、挙止|迂拙であったので、これと交るものは殆ど保....
「少年探偵長」より 著者:海野十三
してきたのは、横綱のような大男ではないか。裾のひきずるような中国服を着て、頭には
花笠のような冠をかぶっている。その冠のふちには、三重のヴェールが垂れていた。 「....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
に肩をすべらせると見た目が生きてらあな、それそれ。ちぇッ、そっちの姉さん、お前、
花笠をそう背負っちゃあいけねえよ、成田山のお札じゃあるめえし、ここんところをこう....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
狂いかと思うほど無中で太鼓を叩《たた》いてお題目《だいもく》をど鳴ることだった。
花笠を背にしている一連もあれば、男女とも手拭《てぬぐい》を吉原かぶりにしているの....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
の玄関前へも練込んで来て、芸妓連は地に並ぶ、雛妓たちに、町の小女が交って、一様の
花笠で、湯の花踊と云うのを演った。屋台のまがきに、藤、菖蒲、牡丹の造り花は飾った....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
かえりに、あの辺はお祭りで、町の神輿《みこし》を献納するための最後の祭りでした。
花笠だの揃いの法被《はっぴ》、赤い襷の鈴、男の児の白粉をつけた顔、まことに珍しく....
「京鹿子娘道成寺」より 著者:酒井嘉七
味する所作が、檜の舞台につづけられて行ったのでございます。私は、手鞠の振りから、
花笠――それから、手習い、鈴、太鼓……と、呼吸もつがせぬ名人芸に、ただ、うっとり....
「平賀源内捕物帳」より 著者:久生十蘭
《はさみばこ》を担《かつ》いだ鬢発奴《びんはつやっこ》の梵天帯《ぼんてんおび》。
花笠《はながさ》に麻上下《あさがみしも》、馬に乗った法師武者《ほうしむしゃ》。踊....
「淡紫裳」より 著者:佐藤垢石
最初幕があがると、美しい四人の生徒妓生が淡紅色の長い袖に、長い裳の衣をつけ、頭に
花笠のような笠をかぶって、両の手に短剣を持ち、腰はしなやかに、両脚を細やかになよ....
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
桃満面好手姿 丶大 名士|頭を回せば即ち神仙 卓は飛ぶ関左跡|飄然 鞋
花笠雪三千里 雨に沐し風に梳る数十年 縦ひ妖魔をして障碍を成さしむるも 古仏因縁....
「江戸芸術論」より 著者:永井荷風
の石垣をば薄き紺色にして、これに配するに山王祭《さんのうまつり》の花車《だし》と
花笠の行列をば坂と家屋の遠望に伴はせて眼のとどかんかぎり次第に遠く小さく描き出《....
「深川の唄」より 著者:永井荷風
居茶屋の混雑、お浚《さら》いの座敷の緋毛氈《ひもうせん》、祭礼の万燈《まんどう》
花笠《はながさ》に酔《え》ったその眼は永久に光を失ったばかりに、かえって浅間しい....