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芳
「芳〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
芳の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
のくま》の爺《おじ》は、戟《ほこ》をたばさみながら、隣にいる仲間をふり返った。蘇
芳染《すおうぞめ》の水干《すいかん》を着た相手は、太刀《たち》のつばを鳴らして、....
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
かった。彼女はこの五六年以来、東京の或近在に玄鶴が公然と囲って置いた女中上りのお
芳だった。
お鈴はお
芳の顔を見た時、存外彼女が老《ふ》けたことを感じた。しかも....
「ひょっとこ」より 著者:芥川竜之介
《おかみ》が、巫女舞《みこまい》を習った時分に稽古をしたので、その頃は、新橋でも
芳町でも、お神楽《かぐら》が大流行だったと云う事である。しかし、踊は勿論、当人が....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
《ことば》を聞いていたが、静にその硝子戸棚の前を去って、隣のそれに並べてある大蘇
芳年《たいそよしとし》の浮世絵の方へ、ゆっくりした歩調で歩みよると、
「じゃこの....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
へ芸者の名前を書きはじめた。張湘娥《ちょうしょうが》、王巧雲《おうこううん》、含
芳《がんほう》、酔玉楼《すいぎょくろう》、愛媛々《あいえんえん》、――それ等はい....
「或恋愛小説」より 著者:芥川竜之介
う》の崔※《さいこう》の詩に「晴川歴歴《せいせんれきれき》漢陽樹《かんようじゅ》
芳草萋萋《ほうそうせいせい》鸚鵡洲《おうむしゅう》」と歌われたことのある風景です....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
た。しかしこれを戯曲化したものは必しもショウにはじまるのではない。わたくしは梅蘭
芳《メイランファン》の「虹霓関《こうげいかん》」を見、支那にも既にこの事実に注目....
「藪の中」より 著者:芥川竜之介
な》とは申すものの、胸もとの突き傷でございますから、死骸のまわりの竹の落葉は、蘇
芳《すほう》に滲《し》みたようでございます。いえ、血はもう流れては居りません。傷....
「或る女」より 著者:有島武郎
御便利ですよ。御案内しましょう」
といいながら葉子をすり抜けて先に立った。何か
芳醇《ほうじゅん》な酒のしみと葉巻煙草《シガー》とのにおいが、この男固有の膚のに....
「或る女」より 著者:有島武郎
いつでも葉子の情熱を引っつかんでゆすぶり立てるような倉地特有の膚の香《にお》い、
芳醇《ほうじゅん》な酒や、煙草《たばこ》からにおい出るようなその香《にお》いを葉....
「小さき者へ」より 著者:有島武郎
を持って来た。産婆は顔と言葉とでその酒を盥《たらい》の中にあけろと命じた。激しい
芳芬《ほうふん》と同時に盥の湯は血のような色に変った。嬰児はその中に浸された。暫....
「追憶」より 著者:芥川竜之介
が、小学校へはいったころからいつか画家志願に変っていた。僕の叔母は狩野勝玉という
芳崖の乙弟子に縁づいていた。僕の叔父もまた裁判官だった雨谷に南画を学んでいた。し....
「江戸か東京か」より 著者:淡島寒月
のが最も名高かった。戦争の後ですから惨忍な殺伐なものが流行り、人に喜ばれたので、
芳年の絵に漆や膠で血の色を出して、見るからネバネバしているような血だらけのがある....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
あるので、たとえ親子夫婦の間柄でも、自分勝手に同棲することはできませぬ。そなたの
芳志はうれしく思いますが、こればかりはあきらめてたもれ。逢おうと思えばいつでも逢....
「初雪」より 著者:秋田滋
いるであろう。そう思うと、彼女はまたにっこり笑った。そして、蝕まれた肺のなかに、
芳ばしい花園のかおりを胸一ぱい吸い込むのだった。 そうして彼女はその思い出の糸....