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芽
「芽〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
芽の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「伝吉の敵打ち」より 著者:芥川竜之介
貧血《のうひんけつ》を起した伝吉のやっと穴の外へ這《は》い出した時には、もうただ
芽をふいた桑の根がたに伝三の死骸《しがい》のあるばかりだった。伝吉は死骸にとりす....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
》の覚えて居ります限りでは、若殿様が十五六の御年に、もう御二方の間には、御不和の
芽がふいていたように御見受け申しました。これが前にもちょいと申し上げて置きました....
「金将軍」より 著者:芥川竜之介
《かいとう》の※《つか》へ手をかけた。倭国《わこく》の禍《わざわい》になるものは
芽生《めば》えのうちに除こうと思ったのである。しかし行長は嘲笑《あざわら》いなが....
「野呂松人形」より 著者:芥川竜之介
《ま》があるので、光とも影ともつかない明るさが、往来に漂《ただよ》っている。木の
芽を誘うには早すぎるが、空気は、湿気を含んで、どことなく暖い。二三ヶ所で問うて、....
「大川の水」より 著者:芥川竜之介
壁との間から、格子戸《こうしど》づくりの薄暗い家と家との間から、あるいは銀茶色の
芽をふいた、柳とアカシアとの並樹《なみき》の間から、磨《みが》いたガラス板のよう....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
大きな子供が弟らしい二人と一しょに、空気銃を片手に下げたなり、何の木か木《こ》の
芽の煙った梢《こずえ》を残惜《のこりお》しそうに見上げていた。――
その時また....
「白」より 著者:芥川竜之介
云う犬は土を嗅《か》ぎ嗅ぎ、静かな往来を歩いていました。狭い往来の両側にはずっと
芽をふいた生垣《いけがき》が続き、そのまた生垣の間《あいだ》にはちらほら桜なども....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
繞《めぐ》る山間の自然の中《うち》に時を過ごした。自然は彼に優しかった。森は木の
芽を煙らせながら、孤独に苦しんでいる彼の耳へも、人懐しい山鳩《やまばと》の声を送....
「少年」より 著者:芥川竜之介
のように問の根を断《た》ってしまうものではない。むしろ古い問の代りに新らしい問を
芽ぐませる木鋏《きばさみ》の役にしか立たぬものである。三十年|前《ぜん》の保吉も....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
若楓《わかかえで》は幹に手をやっただけでも、もう梢《こずえ》に簇《むらが》った
芽を神経のように震わせている。植物と言うものの気味の悪さ!
蟇
最も....
「たね子の憂鬱」より 著者:芥川竜之介
なった。従ってあたりも暗くなりはじめた。たね子はこう云う夜《よる》の中に何か木の
芽の匂《にお》うのを感じ、いつかしみじみと彼女の生まれた田舎《いなか》のことを思....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
と云うばかりではない。林右衛門の心にもまた、知らず知らず、修理に対する憎しみが、
芽をふいて来た事を云うのである。勿論、彼は、この憎しみを意識してはいなかった。少....
「夢」より 著者:芥川竜之介
中《なか》へはいって行った。そのまた埃《ほこり》じみた硝子戸の外はちょうど柳の新
芽をふいた汽車の踏み切りになっていた。わたしたちは隅のテエブルに坐り、何か椀《わ....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
払い、室も貸して置いて、出来るだけの優遇をした。 実際、王立協会はファラデーが
芽生で植えられた土地で、ここにファラデーは生長して、天才の花は爛漫と開き、果を結....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
のを発見した。それは――生憎何の木かはちょっと僕には見当もつかない。が、兎に角新
芽を吹いた昔の並木の一本である。僕の覚えている柳の木は一本も今では残っていない。....