芽ぐむ[語句情報] » 芽ぐむ

「芽ぐむ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

芽ぐむの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
大島が出来る話」より 著者:菊池寛
》として一日を暮して見たいと思った。朝飯が済むと、彼は縁側に寝転《ねころ》んで、芽ぐむばかりになった鴨脚樹《いちょう》の枝の間から、薄緑に晴れ渡った早春の空を眺....
虞美人草」より 著者:夏目漱石
ンスまど》を、床《ゆか》を掃うごとく、一文字に開いた。室《へや》の中には、庭前に芽ぐむ芝生《しばふ》の緑と共に、広い春が吹き込んで来る。 「こうすると大変陽気に....
白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
うに、はらり、はらりと、落ち散るのであった。 その後、春になって、街道に青く角芽ぐむ柳の糸を見るたびに、大井川上流の深谷に秘められて、黙々と、皺だらけな、深刻....
昭和の十四年間」より 著者:宮本百合子
文学の理論家として活動しはじめた。前田河広一郎の「三等船客」中西伊之助の「赭土に芽ぐむもの」藤森成吉の「狼へ!」「磔茂左衛門」宮嶋資夫の「金」細井和喜蔵の「女工....
獏鸚」より 著者:海野十三
というと、木戸という編集員が出てきて、 「じゃあ、いま撮影中だけれど『銀座に芽ぐむ』の前半を見せましょうか」と気軽に引受けてくれた。 帆村と私とは、狭い編....
転機」より 著者:伊藤野枝
らば、この広い土地いっぱいに、春が来れば菜の花が咲きこぼれるのであろう。麦も青く芽ぐむに相違ない。秋になれば稲の穂が豊かな実りを見せるに相違ない。そうしてすべて....
透き徹る秋」より 著者:宮本百合子
接な力で、各自の美しい存在、沈黙の裡の発育、個性というものを見る者の心に訴える。芽ぐむ青桐の梢を見あげ、私は、独特の愛らしさ、素朴、延びようとする熱意を感じずに....
葦笛(一幕)」より 著者:宮本百合子
み見しながら)ほんとうにそうじゃ、春さきのあったかさに老いた心の中に一寸若い心が芽ぐむと思えば、白髪のそよぎと、かおのしわがすぐ枯らして仕舞うワ。ほんとに白状し....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
るわけと感服いたしました。これまでも見ていたのでしょうのにね。もしこんな雪の下に芽ぐむ蕗の薹《とう》でもあったらどんなに春雪はやさしさに満ちるでしょう。昔は、わ....
二つの途」より 著者:豊島与志雄
生命のある物は何もないんだ。樫の幹は枯れている。叢も芝生も枯れている。地面は物の芽ぐむのを許さない冷え切った土、空は暗澹とした冬の雲。太陽の暖かい光りを受けない....
話の屑籠」より 著者:豊島与志雄
が翌年になって、春の末の温気と共に、河に張りつめた氷がとけると、何しろ天地万物が芽ぐむ春のことだ、鴨の足からも芽を出して、立派な鳥となる。一冬氷や雪のなかに閉籠....
地上」より 著者:島田清次郎
えてある机に向った。窓からは晴れやかな青い五月の天と、軽げな白い雲の群と、樹々に芽ぐむ春の生気がのぞかれた。平一郎はバナナの柔らかいうちに弾力のある実をむさぼり....
犠牲者」より 著者:平林初之輔
ったかのように、彼は身体じゅうにはげしい寒さを感じた。頭の中にはもう一片の空想も芽ぐむ余地がなかった。ことに局部の痛みと手さきの冷たさとは全身の調子をひどく不愉....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
奉公しているが、 早晩心の澄む境へ己が導いて行って遣る。 見い、植木屋でも、緑に芽ぐむ木を見れば、 翌年は花が咲き実がなるのを知るではないか。 メフィス....
星の子」より 著者:小川未明
であります。 こうするうちに、春もだんだんに近づいてきました。しかし、まだ木が芽ぐむには早く、風も寒かったのであります。ただ雲の切れ目に、ほんのりと柔らかな日....