芽生え[語句情報] »
芽生え
「芽生え〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
芽生えの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「鯉魚」より 著者:岡本かの子
女《おとめ》。二人は外界をみな敵にして秘密の中で出会うのです。自然と恋《こい》が
芽生えて来たのも当然です。 姫はもう何もかも考えなくなって、ひたすら昭青年の来....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
を知ったと思っていた私は、神を知ったと思っていたことを知った。私の動乱はそこから
芽生えはじめた。 或る人は私を偽善者ではないかと疑った。どうしてそこに疑いの余....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
混合物の中に我々の世界の原始的要素が含まれていたので、その中から次第次第に生命が
芽生えてきた。しかしてまた『その以前には創造されていなかった』神々も成り出で、し....
「動かぬ鯨群」より 著者:大阪圭吉
めは他の船員達と同じ気持だったんでしょうが、段々日を経るにつれて、心の中に郷愁が
芽生える。しかし船長は、危険を覚えて、絶対に妻子のところへ帰さない。が、盛上る感....
「暗号音盤事件」より 著者:海野十三
いたので、願わくば、今二三月もこの土地で静養したいものだと、ふとそんな贅沢な心が
芽生えてくるのだった。その贅沢心を、或る日白木豹二が、一撃のもとに打ち壊してしま....
「かの女の朝」より 著者:岡本かの子
抜くことに依って息子の性格にも吹き抜けるところが出来、其処から正直な芽や、怜悧な
芽生えがすいすいと芽立って来て、逸作やかの女を嬉ばした。逸作やかの女は近頃では息....
「家なき子」より 著者:楠山正雄
、これがさかんにパリの市場に持ち出されるのであった。ただこの花でむずかしいのは、
芽生えのうちから葉の形で八重と一重を見分けて、一重を捨てて八重を残すことであった....
「銀三十枚」より 著者:国枝史郎
情などは、いつの間にか私からなくなっていた。それとは反対に愍れみの情が、私の心に
芽生えていた。 翌日私は散歩した。二月上旬の曇った日で、町には人出が少なかった....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
県大弐、藤井右門、この人々の行ないこそは、あまりに行き過ぎたる行ないでござって、
芽生えんとした尊王|抑覇の大切の若芽を苅り取りたるものでござる!」
「何を!」と....
「安吾人生案内」より 著者:坂口安吾
って報復を志すのは幼児の時はややそうであるが、小学校へ行くころとなれば罪の意識も
芽生えて、少数のほかはイキナリ武器をとるようなことは控えるようになるものだ。大人....
「宝塚生い立ちの記」より 著者:小林一三
本劇壇の一つの新分野を開拓するものでもあった。それはやがて新国民劇として大成する
芽生えが、微かにその双芽を覗かせていたのである。 糊と鋏で出来上....
「久野女史をいたむ」より 著者:兼常清佐
ままは到底音楽の世界には通用しない。 暫くして、またも一つの不安が女史の胸にも
芽生えたらしかった。それは自分のピアノの技巧に対する不安である。例えば一九二三年....
「娘」より 著者:岡本かの子
待乳山聖天から、土運び機械の断続定まらない鎖の音が水を渡って来る。 室子は茶の
芽生えに萌黄色になりかけの堤を見乍ら「いまにあの小さい蓑吉が、桜餅の籠を提げて帰....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
はまず疵です。苦悩です。次に樹脂――つまり涙です。そして新しい生なる五月の新緑が
芽生えます。 わざわざ疵をつけて涙の価値を取出すことさえこの世の中にはあります....
「梟の眼」より 著者:大倉燁子
る。が、もしも盗癖というものが血統にあるのだとしたら――、知らぬ間に心のどこかに
芽生えていたとしたら――、と、考えると、彼女は身も世もあられぬほど苦しくなった。....