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「苔の下〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

苔の下の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
花物語」より 著者:寺田寅彦
出る水は美しい羊歯の葉末からしたたって下の岩のくぼみにたまり、余った水はあふれて苔の下をくぐって流れる。小さい竹柄杓が浮いたままにしずくに打たれている。自分は柄....
縷紅新草」より 著者:泉鏡花
じさん、あすこの寺内に、初代元祖、友禅の墓がありましょう。一頃は訪う人どころか、苔の下に土も枯れ、水も涸いていたんですが、近年他国の人たちが方々から尋ねて来て、....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
った。その彼方《かなた》には、青白い遠景と光を含んだ空気とがあった。夕べの静穏が苔の下に音をたてる涓滴《けんてき》のように、一滴ずつおりてきた。 道の向こうの....
註文帳」より 著者:泉鏡花
らへ無沙汰をしたで、また心ゆかしに廓を一|廻、それから例の箕の輪へ行って、どうせ苔の下じゃあろうけれど、ぶッつかり放題、そのお嬢さんの墓と思って挨拶をして来よう....
二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
けると、忽ち復た地震のためにピシャンコとなってしまったから、文壇の山本伯というは苔の下の二葉亭も余りありがたくないだろうが、風※が何処か似通っている。山本権兵衛....
斎藤緑雨」より 著者:内田魯庵
な部数を売ったというは緑雨の随喜者が今でもマダ絶えないものと見える。緑雨は定めし苔の下でニヤリニヤリと脂下ってるだろう。だが、江戸の作者の伝統を引いた最後の一人....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
九。 ひきつれし百の司の一人だに今は仕へぬ道ぞ悲しき 九重の玉のうてなも夢なれや苔の下にし君を思へば み吉野は見しにもあらず荒れにけりあだなる花はなほ残れども ....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
に佇んだ志賀寺の上人のように、死を願って立っている姿ではない。かえって、大自然の苔の下から、心の垢を洗って、もっと堅実に生き直ろう、刎ね起きようとしている姿であ....
私本太平記」より 著者:吉川英治
居の左の柱には、たれの業か墨匂わしく「花咲かぬ老い木のさくら朽ちぬとも、その名は苔の下にかくれじ」とみえ、わきには、 武蔵ノ国の住人、人見四郎|恩阿、生年七十三....
随筆 宮本武蔵」より 著者:吉川英治
墓石が角もとれて埋もれている。それは三尺に足らない小さい石である。私が見え分かぬ苔の下の文字をどうかして読もうと雨中に屈んでいると、番傘をさしかけていてくれた人....
茶漬三略」より 著者:吉川英治
に曝しておくのを罪深く思った。 清浄な檜林を見つけた。わしは老母の空骸を千年|苔の下に埋めた。鍬は近くの小挽小屋から借りて来たものだった。手から鍬を捨てるとわ....