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苗代
「苗代〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
苗代の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
隈取りを作って芹生が水の流れを狭めている。燕の夫婦が一つがい何か頻りと語らいつつ
苗代の上を飛び廻っている。かぎろいの春の光、見るから暖かき田圃のおちこち、二人三....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
た。「いま、水冷管に冷却水を送り始めました」 「電気は、来ているのですか」 「猪
苗代水電の送電系統は、すっかり同志の手に保持されています。万事オーケーです」 ....
「春昼」より 著者:泉鏡花
けているが、右の方は昔ながらの山の形、真黒に、大鷲の翼打襲ねたる趣して、左右から
苗代田に取詰むる峰の褄、一重は一重ごとに迫って次第に狭く、奥の方暗く行詰ったあた....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
路。白鷺城の天守、第五重。 登場人物 天守夫人、富姫。(打見は二十七八)岩代国猪
苗代、亀の城、亀姫。(二十ばかり)姫川図書之助。(わかき鷹匠)小田原修理。山隅九....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
の茂りに蔽われたのに、雲の影が映って暗い。 縦横に道は通ったが、段の下は、まだ
苗代にならない水溜りの田と、荒れた畠だから――農屋漁宿、なお言えば商家の町も遠く....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
物売の、布子の円い背中なぞへ、同じ木賃宿のそこが歪みなりの角から、町幅を、一息、
苗代形に幅の広くなった処があって、思いがけず甍の堆い屋形が一軒。斜に中空をさして....
「死者の書」より 著者:折口信夫
ねんとして暮す若人たちの慰みに呼び入れられて、板屋の端へ来た。当麻の田居も、今は
苗代時である。やがては田植えをする。其時は、見に出やしゃれ。こんな身でも、其時は....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
物に行くほどの事もなさそうなもんだけれど、私は何だ。…… 董、茅花の時分から、
苗代、青田、豆の花、蜻蛉、蛍、何でも田圃が好で、殊に二百十日前後は、稲穂の波に、....
「山の湯雑記」より 著者:折口信夫
見えて、谷から可なり高い処に、田地が多く作られて居る。稲は相当に伸びているのに、
苗代田はまだ水を張ったまま、豆も作らずにある。豆で思い出すが、此畠を荒すと謂われ....
「慈悲心鳥」より 著者:岡本綺堂
。そうして今度はどっちの方角だ。」と、わたしも笑いながら訊いた。 「久しぶりで猪
苗代から会津の方へ行ってみようと思っている。途中で宇都宮の友達をたずねて、それか....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
すくすく出張って、大きな怪物の土地の神が海の方へ向って、天地に開いた口の、奥歯へ
苗代田麦畠などを、引銜えた形に見えます。谷戸の方は、こう見た処、何んの影もなく、....
「瘤」より 著者:犬田卯
や隠元豆、ふだん草、山芋などを蒔きつけ、さらに、トマトや南瓜の苗を仕立てるための
苗代ごしらえをしていた。おいおい彼自身も村夫子にかえって野菜作りから麦小麦、やが....
「米」より 著者:犬田卯
る肥料の匂い――が、そこには何か不純なものが含まれていた。彼女は苗取る手を休めて
苗代から代田の畦へ近づき、そのばら撒かれた肥料を泥の上から掬い上げて、色合を見た....
「押しかけ女房」より 著者:伊藤永之介
しい菅笠の真紅なくけ紐をふくらんだ顎にクツキリと食いこませたその姿が、終日家裏の
苗代で動いていた。 「源治は仕合せ者だよ、あんないい嫁をもつてな」 村の人々は....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
た。 一方、宗祇が歿した後、永正、大永から享禄・天文にかけての約三十数年に、猪
苗代兼載・後柏原天皇・冷泉政為・牡丹花肖柏・宗長・三条西実隆が和歌連歌の世界を圧....