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「苗売り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

苗売りの前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
た。中っても外れても、考えるだけは考えなければ気が済まないのであった。 表には苗売りの声がきこえた。けさから催していた雨がしずかに降って来た。その雨の音を聞き....
縮図」より 著者:徳田秋声
た。 銀子に兜町の若い旦那の客がついたのは、土の見えないこの辺にも、咽喉自慢の苗売りの呼び声が聞こえる時分で、かねがねお神の民子から話があったと見え、贔屓に呼....
丹下左膳」より 著者:林不忘
ものうい初夏の午後だ。はるか妻恋坂の下からのどかな余韻を引いてあがってくる、苗売りの呼び声……。 お蓮様にしたところで、十分この道場には未練があるし、それ....
残されたる江戸」より 著者:柴田流星
所 節句 筍めし 藤と躑躅と牡丹 初松魚 釣りと網 初袷 五月場所 花菖蒲 稗蒔苗売り 木やり唄 浅草趣味 八百善料理 風鈴と釣忍 井戸がえ 箱庭と灯籠 定斎と....
物売りの声」より 著者:寺田寅彦
っぱり聞かなくなってしまった。 つい二三年前までは毎年初夏になるとあの感傷的な苗売りの声を聞いたような気がする。「ナスービノーナエヤーア、キュウリノーナエヤ、....
旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
、うすい埃《ほこ》りがたつと、しんとした正午近くは、「稗蒔《ひえま》き」が来る。苗売りが来る、金魚やがくる、風鈴やが来る。ほおずき売りが来る。汗ばんで来たなと思....
名人地獄」より 著者:国枝史郎
な」と、奇矯な俳人が咏んだように、一夜の嵐に散ってからは、世は次第に夏に入った。苗売り、金魚売り、虫売りの声々、カタンカタンという定斎屋の音、腹を見せて飛ぶ若い....
釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
鬢下へ持って行くと、後は彦兵衛の咽喉仏《のどぼとけ》が暫時上下に動くばかり――。苗売りの声が舟松町を湊町の方へ近付いてくるのを、勘次は聞くともなしに放心《ぼんや....
大岡越前」より 著者:吉川英治
左右太は、手拭で、ひたいを拭いながら、 「いや、もう往来を歩くと、陽が暑い。――苗売り、すだれ売りの声をきくにつれ、月日のはやさに、鞭打たれる」 と、ふところ....