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苗床
「苗床〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
苗床の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「雪後」より 著者:梶井基次郎
なた》や土の匂いのするようなそこの子を連れて来て家で遊ばせた。彼も家の出入には、
苗床が囲ってあったりする大家の前庭を近道した。 ――コツコツ、コツコツ―― 「....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
謹慎や蟄居を命ぜられたばかりでなく、強い圧迫は京都を中心に渦巻き始めた新興勢力の
苗床にまで及んで行った。京都にある鷹司、近衛、三条の三公は落飾を迫られ、その他の....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
の小藩なる山吹領というふうに、公領私領のいくつにも分かれた伊那地方が篤胤研究者の
苗床であったのも、決して偶然ではない。たとえば暮田正香のような幕府の注意人物が小....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
史伝』三十一巻の上木頒布に、山吹社中発起の条山神社の創設に、ほとんど平田研発者の
苗床ともいうべき谷間であった伊那ですらそれだ。これを中央に見ても、正香のいわゆる....
「一九三二年の春」より 著者:宮本百合子
は、たとえ現在では片々として未熟なものであろうと、大胆にプロレタリア文学の未来の
苗床として包括されて行かなければならない。下手であろうとも、それらの文章はまず勤....
「路傍の草」より 著者:寺田寅彦
、小さな芽ばえでもたんねんに抜いてそこらに捨ててある。どうかすると細かく密生した
苗床を草履か何かですりつぶしたりする。すっかり失敗した翌年は特別な花壇を作る代わ....
「昭和の十四年間」より 著者:宮本百合子
ければならない。独自の社会小説というものもあり得ない。ヒューマニズムという豊穰な
苗床さえ当時日本の文芸評論から理論性が消滅しつつあるという重大な危機を好転させ得....
「婦人と文学」より 著者:宮本百合子
きものという理解に立った。生活そのものに向う動的な態度では、ホトトギス派を文学の
苗床として成長した野上彌生子の現実鑑賞の態度とはおのずから質において異っていた。....
「後庭」より 著者:宮本百合子
たので、十本ほどあったカアネーションは消えたものと見えて、何処にも見あたらない。
苗床と
苗床との間を一杯にコスモスがひろがって居るから入って見る事も出来ない。 ....
「ラプンツェル」より 著者:グリムヴィルヘルム・カール
みさんがこの窓の所へ立って、庭を眺めて居ると、ふと美しいラプンツェルの生え揃った
苗床が眼につきました。おかみさんはあんな青々した、新しい菜を食べたら、どんなに旨....
「常識」より 著者:豊島与志雄
栽培法の理論と実際とを研究し、肥沃土の人工的製作、電熱が植物の苗根に及ぼす作用、
苗床の温度の測定、殊に困難な
苗床の湿度の測定、それらを研究するために、私がある専....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
いていった。径の両側には、赤黄い房《ふさ》をつけたすぐりの草むらや苺《いちご》の
苗床が並んでいて、その香《かお》りが空中に満ちていた。ちょうど六月のことだったが....
「レンブラントの国」より 著者:野上豊一郎
に偏せず、情緒的な滲泄を見せないのもむしろ当然であり、どこまでも堅実な写実主義の
苗床であった理由が理解される。そうして、その
苗床で成長した最大の樹木こそレンブラ....
「光は影を」より 著者:岸田国士
かけた。 「さあ、はつきりわからない。どうも雑草と見分けつかないんだよ。やつぱり
苗床を作つた方がよかつたかな」 「だから、ハギのいうとおりになさればよかつたのよ....
「唇草」より 著者:岡本かの子
きうねり宙に上昇するように見えた。畑の一部にある金蓮花はほとんど苅り取られ、園の
苗床に冠せてある葭簀や、フレームの天井は明るみ切って、既に夏になり切っている。 ....